アインシュタインは超浮気症だった? 脳に異常も? 天才物理学者の知られざる10の素顔【後篇】
~天才物理学者アインシュタインの知られざる10の素顔~ 【前篇】はコチラ
【7】長男と馬があわない
ミレーヴァと離婚するや、長男ハンスとアインシュタインの関係はたちまち暗礁に乗り上げてしまった。ハンスはハンスで母を捨てた廉で父を非難し、父もまた、ハンスとフリーダ・クネヒトとの結婚に強く反対したせいだった。父子はこうして日夜、口論を繰り返すことになる。(離婚の理由の1つに、アインシュタインの不倫が挙げられている)
1927年のこと、23歳のハンスは1つ年上の─アインシュタインから見れば─パッとしない女性と恋に落ちた。これに対してアインシュタインは、自分の母親がミレーヴァとの結婚の際に見せた残忍な妨害をはるかに超えて、かれらの愛に猛反対した。2人を呪い、花嫁が彼の息子を餌食にする、ずる賢い女だと広言してはばからなかった。
…が、すべての努力が水泡に帰したとき、アインシュタインは「せめて子供だけはつくってくれるな」と懇願した。離婚が難しくなるという理由からだった。(って、自分のことですよネ?)
その後、ハンス・アインシュタインはアメリカに渡り、カリフォルニア大学バークレー校に水工学の教授のポストを得た。もちろん、パパの名声やコネなんか一切なしの自らの実力によって。が、新たな土地でも、父と息子の心が通うことはなかった。そのためか、アインシュタインが死後、ハンスに分けあたえた遺産は雀の涙ほどだったという。
【8】アインシュタインはレディース・キラーだった?
アインシュタインは離婚後4カ月すると、今度は、いとこのエルザ・ローウェンタール(Elsa Löwenthal/1876―1936)と再婚した。でも、本当をいうと、彼が眼をつけていたのは、エルザの娘のイルゼの方だった。母親と結婚したのは、イルゼが首を縦にふらなかったためだった。
一説によると、アインシュタインより18歳年下のイルゼは彼に異性を感じず、むしろ父親像を求めていた。その上、彼女はスキャンダルを未然に防ぐ良識の持ち主だった。あわやアインシュタインは、ウディ•アレンになりそこねたのだった!
ミレーヴァとはちがい、エルザ・アインシュタインの主な関心事は、世界的に有名な夫の世話を焼くことに注がれた。彼女は、夫の不倫と数々の恋愛事(love affairs)を間違いなく知っていたのに─それは後に手紙からも明らかになる─寛大にも許容してみせた。
彼は遺言で、死後、すべての資料と遺品をエルサレムのヘブライ大学に寄贈するとした。学校側が新たに公開した手紙によれば、アインシュタインはエルザと結婚しながら、6人の女性と「ひととき」を過ごし、かれらから贈り物を受け取っていたことが明らかになった。
彼の「夜の共同研究?」のお相手の中には、エステラやエセル、またトニやマルガリータなどがいた。その他は、MやLのようにイニシャルだけで記されていた。
1931年のマーゴット宛ての手紙の中で、彼はこんな風に打ち明けている。「Mがイギリスまで私を追いかけて来たのは本当のことで、彼女の心はすっかり制御不能に陥っていました」「すべての婦人方のうち、私がほんとうに愛情をいだいたのはミセスLただ独りでした。彼女は完全に無害で、まっとうな女性でした」
ここで忘れてはならないのが、ヘレン・デュカス(Helen Dukas/1896―1982)の存在だ。彼女がアインシュタインの私設秘書として雇われたのが1928年。1933年には一家とともにアメリカに移住し、1936年にエルザが亡くなった後は家事を切り盛りした。1955年にアインシュタインの死を看取ったヘレンは、実質上、三人目の妻だったのかもしれない。
【9】平和主義者のはずなのに、ルーズベルト大統領に原爆製造を提言!?
1939年のことだ。ナチス・ドイツの台頭に恐れおののいたハンガリー出身の亡命ユダヤ系物理学・分子生物学者レオ•シラード(Szilárd Leó/1898─1964年)は、アインシュタインを訪ねると、当時のアメリカ大統領フランクリン•デラノ•ルーズベルト(F.D.R/1882─1945)にある手紙を書くよう説得した。ナチスが原子爆弾の開発を進める可能性があるため、アメリカも独自にこれに着手すべし、というのがその骨子だった。長いためらいの後、シラードのこしらえた文面にアインシュタインは署名した。
長らく、この「アインシュタイン=シラード書簡(Einstein-Szilárd letter)」の後押しにより、ルーズベルトがあの秘密の「マンハッタン計画」に向かって腰をあげたと考えられてきたが、後になって、政府に拍車をかけたのはそれよりもむしろ、1941年の旧日本軍による「真珠湾攻撃(Attack on Pearl Harbor/日本時間1941年12月8日未明、ハワイ時間12月7日)」であることが判明した。尚、この計画については、先のコラム「デーモン・コア」をご覧いただきたい。
アインシュタインは優秀な物理学者だったが、軍は平和主義者である彼を一種の危険人物とみなし、このプロジェクトに招こうとはしなかった。
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