外交官が語るイスラム国機関誌「ダービク」に隠された“究極の目的”! ~終末思想とハルマゲドン~

 シリアでの日本人拘束・殺害事件は、いまや日本も「イスラム国」の標的となった事実を私たちに突きつけた。日本の認識では、「イスラム国」はあくまでも国家を名乗るテロ組織であり、自らの勢力拡張のために人質を利用して広報活動を行っているとの見方が主流のようだが、筆者と旧知の仲にある外交官は、「イスラム国」の本質と最終的な目標について、それとは大きく異なる可能性があると示唆する。

外交官が語るイスラム国機関誌「ダービク」に隠された究極の目的! ~終末思想とハルマゲドン~の画像1画像は「YouTube」より

■「カリフ」を名乗ることの意味

「2003年のイラク戦争後、様々な過激派組織が合流し、指導者も入れ替わりながら、紆余曲折を経て『イスラム国』は現在の形になりました。その存在が国際的にクローズアップされたのは、2014年6月にイラク第2の都市モスルを占領し、現指導者であるアブ・バクル・アル=バグダーディ自ら『カリフ』への即位と、支配地域での『イスラム国』樹立を宣言してからです」

「カリフ」とは本来、預言者ムハンマドの後継者を意味し、1922年に廃止されるまでイスラム世界の最高指導者とされていた地位である。

「この『カリフ』を称することは、アラブ諸国の反発を招く可能性があります。これは過去の歴史を見ても明らかです。しかし、異教徒とのジハードを強力に推し進め、イスラム法の厳格な適用を目指す姿勢には、各国のイスラム過激派の間で同調する者が現れているのも事実です。さらに、100年前の『サイクス・ピコ協定』などによりヨーロッパ諸国が人為的に引いた国境線を破棄するとの『イスラム国』の主張は、アラブ諸国民の感情に響くものでもあるのです」

「実際、各国のイスラム過激派組織が、それぞれ『トリポリ州』なり『シナイ州』なり、『イスラム国』の“州”を名乗りはじめています。イスラム過激派組織が国を作るという考え方は日本人には馴染めないかもしれませんが、モロッコのムワッヒド朝やイランのサファビー朝、リビアのイドリース朝など、中東では特定の宗教運動が事実上一定の領域を支配するに至り、その後国家となったという実例がいくつもあります」

 こう語った上で、外交官は「イスラム国」の最終的な目標について次のように推測する。

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