外交官が語るイスラム国機関誌「ダービク」に隠された“究極の目的”! ~終末思想とハルマゲドン~
■広報誌の名前から透けて見える真意
「『イスラム国』の指導者バグダーディがカリフを名乗ったことは、全イスラム教徒に対する指揮権を得ようという意図の表れとも言えます。とすれば、イスラム世界の統一こそが究極の目的のようにも思えます。実際『イスラム国』自身、5年以内に中東地域はもちろん、アフリカの北半分からスペイン、ギリシャまで征服するという意図を表明しています」
「ところが、もしかしたら彼らは、それ以上のことを考えている可能性があるのです。そのヒントとなるのが、彼らのネット広報誌のタイトルです」
周知のとおり、「イスラム国」は独自の広報部門を擁し、インターネットなどを駆使した活発な宣伝活動を行っている。そんな彼らのネット広報誌の名とは『ダービク』であるが、これはシリアの小さな町の名にちなんだものだという。
「ダービクというのは、『イスラム国』に支配される前から人口4,000にも満たない、シリア北部の小さな町です。1516年、この町の近郊でオスマン帝国とエジプトのマムルーク朝が対峙したマルジュ・ダービクの戦いがありましたが、それ以来、歴史にも登場しないような場所です。現に昨年8月、『イスラム国』がこの村を占領した時も、ほとんどニュースにはなりませんでした。しかし、このダービクという村は、“世界の終末”に際して重要な役割を果たすというのです」
■ハルマゲドンを目論んでいる!?
実はキリスト教と同じく、イスラム教にも終末思想があるのだ。
「イスラム教における世界の終末とは、道徳の退廃や不正の蔓延のなかで地中から怪獣が姿を現すとか、アレクサンドロス大王に閉じ込められていた悪魔(ゴグとマゴグ)が暴れ出すとされています。そして、反キリストであるダッジャール(偽救世主)が40年あるいは40日間地上を支配するものの、再臨したイーサー(イエス)に殺害され、さらにはマハディー(救世主)が現れて審判が行われるということのようです」
「その過程で、キリスト教におけるハルマゲドンと同じような最後の戦いも行われるとされています。キリスト教ではメギドの丘で行われる最後の戦いですが、イスラム教では、これがなんとシリアのダービクで行われるというのです。『イスラム国』が自らの広報誌にダービクの名を採用したことは、彼らが欧米の過激なキリスト教原理主義者と同じく、自らハルマゲドンを引き起こそうとしている可能性を示唆します。そうだとすれば、彼らの行動すべてについて認識を改める必要があるでしょう」
欧米のキリスト教原理主義者の中には、自らハルマゲドンを引き起こそうとして、エルサレムにある「アル=アクサー・モスク」の破壊を目論む者がいる。というのも、世界の終末に際しては「エルサレム神殿」(古代に存在したユダヤ教礼拝の中心地)が再建されているはずなのだが、現在はその場所に「アル=アクサー・モスク」が建っていることによる。つまり彼らの論理は、終末の到来を早めるため「エルサレム神殿」を再建し、邪魔なモスクを破壊しようということなのだ。
もしも「イスラム国」がキリスト教原理主義者と同様に、ハルマゲドンと世界の終末を望んでいたとしたら、両者の思惑には、少なくとも一致する部分があるということになる。とすれば、両者がこの同じ目的のために裏で協力している可能性さえ否定できなくなるのではないだろうか? 今後、「イスラム国」の思想と目的については、さらに精査する必要がありそうだ。
(櫻井慎太郎)
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