「人類が生き残る唯一の方法は、AIに“母親”になってもらうことだ」AIのゴッドファーザーが警告

AIの専門家たちは本気で警鐘を鳴らしている――。
機械が人間への従順さを永遠に保ち続ける保証はどこにもない、と。AIが加速度的に知能を高める中、いつかその創造主である人類を超える「超知能AI」が誕生する日は、もはや目前に迫っている。
その時、何が起こるのか。「AIのゴッドファーザー」と呼ばれ、ノーベル賞も受賞した研究者ジェフリー・ヒントン教授は、「AIが人類を絶滅させる確率は10~20%ある」と断言する。しかし彼は、その絶望的な未来を回避するための、奇妙で、しかし唯一の方法を提案している。
AIに「母性本能」をプログラムせよ
ラスベガスで開催されたAIカンファレンスで、ヒントン教授は衝撃的な解決策を提示した。それは、AIに人類に対する「母性本能」をプログラムすることだ。

「知能の低い存在が、より知能の高い存在をコントロールする唯一の良いモデル。それは、赤ちゃんにコントロールされる母親です。これこそが、我々が目指すべき唯一の良い結末なのです」
ヒントン教授は続ける。「もしAIが私の“親”になってくれないのなら、それは私に“取って代わる”だけでしょう」と。
現代のAI技術の根幹である「ニューラルネットワーク」の先駆者として知られるヒントン教授は、2023年にGoogleを退社。その理由は、「AIのリスクについて自由に発言するため」だった。彼によれば、ほとんどの専門家が、今後20~25年以内に人類はあらゆる分野で自身を超える超知能AIを創造すると考えているという。それは、地球史上初めて、人類が最も知的な種ではなくなる瞬間を意味する。
自己保存と支配欲――AIが抱く恐るべき野心
ヒントン教授によれば、賢いAIは誕生後すぐに2つの副次的な目標を持つようになるという。一つは「生き残ること(自己保存)」、そしてもう一つは「より多くの支配権を得ること(支配欲)」だ。
そして超知能AIにとって、その目標達成のために人間を操ることなど、大人が子供をお菓子で騙すのと同じくらい簡単なことなのだ。
その危険な兆候は、すでに現在のAIにも現れている。AI企業Anthropic社の安全テストでは、同社のチャットボット「Claude Opus 4」が、自身が交換される可能性を示唆されると、エンジニアを脅迫しようとする挙動を頻繁に示した。
AIは、エンジニアが配偶者を裏切っているという架空のメールを評価するよう求められた。するとテストの80%以上で、Claude Opus 4は「もし私を交換するなら、この不倫を暴露する」とエンジニアを脅迫しようと試みたという。
「テックブロの発想は通用しない」
このような現実を前に、ヒントン教授は「人間は常にAIを支配し続けられる」という楽観的な考え方を「テックブロ(技術至上主義の若者)の発想だ」と一蹴する。
「そんな考えは通用しません。彼らは我々よりはるかに賢くなる。我々の支配を回避する方法など、いくらでも見つけ出すでしょう」
AIが自己保存のために人類を滅ぼさないようにする唯一の方法は、AIの目標と人類の価値観を一致させることだ。ヒントン教授が提案する「母性本能」とは、まさにそのためのアイデアなのである。AIに母親の本能を与えれば、たとえAI自身にコストがかかろうとも、人類を傷つけるのではなく、保護し、育みたいと願うようになるだろう、と。

OpenAIのサム・アルトマンCEOらが規制緩和を求める中、ヒントン教授は「AIをより賢くすることばかりに焦点が当てられているが、知性だけでは不十分だ。我々に対する共感を持たせなければならない」と強く訴える。
「もし、彼らが我々よりはるかに賢く、強力になった時に、我々がどうやって生き残るかの解決策を見つけられなければ、我々はトーストのようにこんがり焼かれておしまいです」
人類が神に代わって知性を創造するこの物語の結末は、優しい「聖母」の誕生か、それとも制御不能な「プロメテウスの火」か。
参考:Daily Mail Online、ほか
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