宇宙人か、地底人か、人間か、それとも“偽物”か… ペルーの3本指ミイラの正体をめぐり、科学界が大激論

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画像は「Daily Mail Online」より

 南米ペルーで二十数体が発見されている奇妙な3本指のヒューマノイドのミイラは、地球外生命体、つまりエイリアンのミイラなのか――。

■ペルーのミイラは異星人ではない!?

 2023年7月に米下院で前代未聞の“UAP公聴会”が開かれて大きなニュースとなったが、その余勢を駆ってということなのか、同年9月にはメキシコ議会でも“UFO公聴会”が開かれ、宇宙人の遺体とされるものが公開された。

 議会の壇上で公開されたのは2つの小さなミイラで、両手に3本の指があるのが特徴であった。そしてこのほかにもペルーでは2015年から2017年にかけてこの種のミイラが二十数体発見されているといわれている。

 3本の手指と3本の足指を持つこの珍しいミイラは、さまざまな憶測を巻き起こし、エイリアンだと主張する者もいれば、かつて存在した未知の人類種であると主張する者もいる。一方で少なくない科学者は精巧な作り物だと結論づけている。

 現在、これらのミイラのうち約24体が科学的な検査を受けているという。そして各分野の専門家はそれぞれの見解を表明している。

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画像は「Daily Mail Online」より

 ポッドキャスト番組「American Alchemy」の運営者で司会者のジェシー・ミッシェルズ氏は最近現地に赴いて現物を肉眼で見物し、彼らはエイリアンではないとの判断に到ったことを英紙「Daily Mail」に語っている。

「ミイラが地球から来たものではないという証拠は見つからなかった」と彼は述べ、ミイラはこれまで知られていなかった地底の生物である可能性を示唆した。

 一方、生物学と情報科学を組み合わせた学問分野であるバイオインフォマティクス(bioinformatics)の専門家、アライナ・ハーディー氏は、当初は遺伝子変異がこのような指の異常を引き起こす可能性を当初想定して分析に着手したという。

 研究チームは、高度な古代のDNA抽出技術を使用して、ミイラの骨と筋肉組織から遺伝物質を慎重に分離し、ゲノム配列解析とバイオインフォマティクスのツールを活用して遺伝子プロファイルを再構築し、変異を特定した。

 分析されたサンプルには、「ビクトリア」と名づけられている首のないミイラの骨や、筋肉組織が含まれており、DNAが人間由来であることが確認された。

 ミシェルズ氏は、欠指症、または「ダチョウ足症候群」と呼ばれる先天性疾患を持つ者が多いジンバブエ北部の部族を挙げ、この障害により1本以上の指が欠損し、手や足にV字型の裂け目が生じていると説明する。

※関連記事:ダチョウの足を持つジンバブエの「ヴァドマ族」とは? 歩行困難でも木登りは高速!?

「特定の環境に適応した突然変異が、時を経ても持続することがあります。つまり、まさにそれが原因かもしれない。それ自体が驚くべきことです」とミシェルズ氏は語る。つまりこのミイラは欠指症の人間、特に子供である可能性があるということになる。

 遺骨の調査を担当する法医学主任専門家、デビッド・ルイス・ベラ博士は、これらのミイラはハイブリッドである可能性があると示唆した。

 ベラ博士は標本の一つである「マリア」と名づけられたミイラは、25万年前から2500年前までの長い期間にわたるアジアとアフリカ全域での異なる霊長類や人類種間の自然な移動と交配の結果生じた混合特性を持っていると説明する。

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ペルーで発見された“エイリアン”ミイラのCTスキャンに胎児が確認されたという

 2023年に2体のミイラの調査を指揮した法医学考古学者フラビオ・エストラーダ氏は、標本が地球外からのものであるという主張は「全くの誤り」だと述べている。

「結論は簡単です。これらはこの惑星の動物たちの骨を現代の合成接着剤で接着して組み立てられた人形なのです」とエストラーダ氏は主張した。

「したがって、彼らはスペイン到来以前の時代に集められたものではありません。彼らは地球外生命体でも、エイリアンでもありません」(エストラーダ氏)

 はたしてこれらの3本指のミイラは“地底人”なのか、欠指症の人間なのか、それともハイブリットなのか、あるいは人の手による工芸品なのか。ともあれこれらのミイラが地球外由来である可能性は徐々に低くなっているようである。このペルーの3本指ミイラが今後どのような顛末に行き着くことになるのか注目していきたい。

参考:「Daily Mail」ほか

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文=仲田しんじ

場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。
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