「カラスは線香くさい」は本当か? オカルト研究家が「世界の怪食伝説10」を検証!【後編】

■美味すぎるベニテングタケ

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 赤い傘と白い水玉模様。そのメルヘンチックな外見から、キノコの代名詞のような存在となっているベニテングタケ
 
 毒キノコとしても有名ですが、その毒性はお腹をくだす程度、命の危険はさほどありません。むしろトリップをもたらす自然ドラッグとして、宗教的な扱われ方をされることも。さらにキノコの中で最も美味との噂まであるのだから、がぜん興味をそそられます。

 これは食べねばなるまい、と長野県にてベニテングタケを採集。二週間ほど陰干しして、乾燥ベニテンを作りました。それをスープにして、皆で食べてみると……確かに美味い!  というか美味すぎる!!

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 スープといっても味付けいっさい無し、塩すら一振りも入れず、本当にただ水で煮ただけ。それでも強烈な旨みが口を満たしていきます。数人で分けて食べたのですが、一口ずつではとても物足りませんでした。

 ただ「一口ずつ」だったのが逆に良かったのかもしれません。残りを全て食べた友人は、その後、けっこうな吐き気と腹痛に襲われてしまいました。チャレンジしたい人は、くれぐれも毒キノコであることはお忘れなく。

結論:食べ過ぎればアタるが、間違いなく美味。
(※編注:当記事はベニテングダケの食用をうながすものではありません。)


■フグ肝の刺身は食べられる?

 フグには様々な種類があり、食べられる部位も違ってきますが、たいてい卵巣と肝臓はNG。猛毒テトロドトシキンによって神経が麻痺し、最悪死んでしまいます。

 ……の筈なのですが、石川県には「フグの卵巣の糠漬け」なる名産品もあります。卵巣を1年塩漬けした後、さらに1年糠に漬けると、発酵によって卵巣の毒が分解されるのだとか。しかし、どういう仕組みで毒抜きされるか完全には解明されていないため、昔ながらの製法を守るしかない、という珍しい食品です。

 また、僕自身も浜名湖辺りの店で、「フグの肝入り鍋」を食べたことがあります。裏メニューでもなんでもなく、ランチメニューの黒板に堂々と書いてあったので、思わず注文してしまったのです。おそらくヨリトフグかと思いますが、「ここでは肝も皮も普通に食べますよ」と店員さんが言っていました。無毒とされる種類でも肝臓は提供しちゃいけなかった気がするけど……。

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 もっと凄いのは、「大分県ではトラフグの肝を刺身で食べる」という噂。もちろんかなりの危険を伴いますが、生の肝は絶品らしく、大分県ではひっそり食されているとか。そこまでして食べる価値があるということでしょうか。

結論:種類・地域によっては食べることもあるが、オススメはできない。


■オオサンショウウオは山椒の匂い

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 現在は天然記念物として、捕獲も食べることも禁じられているオオサンショウウオ。しかし美食の大家・北大路魯山人は実際に食べてみた記録を残しています。

 その感想は「すっぽんと河豚の合の子」「肉もうまいが、ゼラチン質の分厚な皮がとびきりうまい」というもの。さらに名前通り、「家全体が山椒の芳香につつまれてしまった」というのです。

 本当にオオサンショウウオは山椒の匂いがするのか……確かめたくても、日本で食べたら犯罪行為。そこで僕はアイソ氏とともに、中国・上海へと飛びました。上海中心部の某日本料理屋では、養殖されたオオサンショウウオを出してくれるというのです(もちろん合法です)。

 体重4kg、全長70cmのオオサンショウウオを丸ごと一匹使った、茶碗蒸し、唐揚げ、鍋などのフルコースを堪能しました。コラーゲン豊富でプリプリした食感、噛みしめるほど滲みだす滋味。たいへん美味しかったのですが、肝心の「山椒の匂い」はほぼ感じられませんでした。調理の過程で消えていってしまうのかもしれません。

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 その後の調査では、確かにオオサンショウウオは刺激を加えられると「すっぱい匂い」の分泌物を出すということが分かりました。しかし嗅いだ人の弁では山椒というより、レモンに似た柑橘系の香りとのこと。魯山人の例えは、当たらずとも遠からず、といったところでしょうか。

結論:オオサンショウウオをさばくとレモンの匂いがする。

■吉田悠軌(よしだ ゆうき)

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怪談サークル「とうもろこしの会」会長。怪談やオカルトを「隠された文化」として収集・研究している。著書に『放課後怪談部』『ホラースポット探訪ナビ: 日本全国のヤバイところに行ってきた!』(学研パブリッシング)。編集長を務める同人誌『怪処』ではオカルト的な場所を広く紹介。
 
怪処HP

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