撮影:殿村任香
――では、いまやカンパネラの代名詞となっている「鹿の解体」にハマったのは? ライブハウスで解体を行ったり、ファンを連れて解体体験ツアーを組むなど精力的に活動をされています。
コムアイ:カンパネラをやる前、農業に関心を持ったくらいから鹿の解体にも興味を感じていたんです。「農業体験ツアー」とかも普通にありますし、そんなに不思議なことはしてないつもりなんですが……。
――ただ、ミュージシャンが企画するツアーじゃありません!(笑)
コムアイ:それは、私がこの立場を利用しているからですね。歌をはじめる前から鹿の解体をいろんな人に見せたいと思っていたし、カンパネラ的にも「鹿の解体をやっているユニット」というキャッチフレーズがあれば面白がってもらえる。
――ミュージシャンが本業、ではなくミュージシャンという立場を通じていろいろな世界を見せたい?
コムアイ:そう。私自身ミュージシャンになりたいと思ったことは一回もないんです。たまに「楽器とかできたら楽しいだろうな」って憧れますけど(笑)。
――とはいえ、最近では海外の有名音楽誌で日本を代表するラッパー25人にも名を連ね、音楽的な評価がどんどん高まっています。
コムアイ:「ワロタ」ですよね(笑)。
――ワロタ……ですか? ずいぶん状況を俯瞰的に捉えている印象ですね。
コムアイ:私たちの魅力は「上手い」っていうところではないんですよ。新しく出てきた人が次の時代に残るためには、ジャンルにとらわれず、既成の枠組みを壊したり、時代にあった雰囲気を味方に付けないと、以前から真面目に取り組んできた人には負けてしまいます。カンパネラの魅力は、声が合わないのにラップしている、ラップしているのにヒップホップは敬愛していない、みたいな部分なんだと思います。