撮影:殿村任香
■時代の“気分”を意識している
――新作EP『トライアスロン』はカンパネラとして初めての全国発売になりますが、これまでの楽曲と違う意識はありますか?
コムアイ:今までは、破壊衝動のようなものに突き動かされてライブをやっていて、ぶっ壊れているイメージで捉えられていたし、ストレスを溜めこんで爆発する人間の衝動を楽しんでもらっていました。ただ、今の時代は求められるものがもっと健全になりつつあるかな。そんな今の時代の気分を100%反映できたと思うんです。『ディアブロ』は「いい湯だね」っていう歌詞から始まるし、『ナポレオン』もすたすたと歩いている感じ、『ユタ』は質量を感じさせない妖精っぽい楽曲です。
――ポジティブさを感じる楽曲ばかりになったのは、コムアイさんやカンパネラではなく時代が変わった、と。
コムアイ:そうですね。2015年という年が、スッキリとして春めいているような感じがしています。
――時代の流れやニーズに対してかなり意識的なんですね。ただ、なかなかそれを公言するアーティストも珍しいのではないでしょうか?
コムアイ:カンパネラでは、世の中のニーズやユニットの客観的な印象などは常に考えています。そういったことは、包み隠さず素直に話すべきだと思うんです。例えば私は、音楽の世界に入って、みんなすごく華やかで頭もいいし、男性も女性も気持ちいい人が多いことに驚きました。そういった素晴らしさを話すときにも、素直な人の方が信頼できるじゃないですか。本音のほうが、強い言葉になると思うんです。
■「いろんな人に音楽を届けたい。媒体は何でもいい」
――これからカンパネラとしてやりたいことはありますか?
コムアイ:ずっとやりたいと思っているのが、値段が変わっていく音源です。音源の値段って、いつまでも一定ですよね。そうではなくて、最初は10円で販売し、日が経つごとに値段が上がっていくようなシステムをつくってみたいです。
――以前は、100円でCDを販売して話題となっていました。
コムアイ:どういう値段で、どういう形で音源をリリースするかを提示することは、音楽業界の過渡期にさしかかっている時代に意味のある活動だと思います。これから、絶対にCDの時代は終わります。そんな時代を刺激する活動をしたいですね。