“ご利益不明”の私設パワースポット?東京・世田谷に鎮座する“テル子”女神像!!
秋の行楽シーズンが近いこともあり、日頃から気になっている全国各地のパワースポットをめぐる予定をたてている人も少なくないと思う。そのような人たちにもオススメできるのが、近年、にわかに注目を集めている東京・世田谷区三軒茶屋の路地裏に佇む「テル子女神像」だ。
テレビの街歩き番組でしばしば取り上げられる人気揚げ物店・天政を横目で眺めつつ、地元の買い物客で賑わう商店街から路地へと入ってしばらく歩くと、個人宅に挟まれるようにして、突如として空き地のような場所が現れる。周囲には多くの草花が生い茂り、四季折々の花が咲くこの地は、最近になって「太子堂 山下公園」と記されたプレートが立てられたものの、詳細は不明。無論、一般に販売されている地図に、その名を確認できるものもない。ただ、この地には、とりわけ異彩を放つ存在がある。それは、敷地のほぼ中央に祀られている「テル子女神像」という記された女性の像だ。
「土日は、結構、若い人なんかが来るね。自分らからすれば、随分とまぁ物好きだなっていう感じはするけども…。ご利益? 知らないよ、そんなもん」
我々の取材に対してそう答えてくれた地元菓子店の元店主によると、最近ではこのテル子像を目当てに、地方からわざわざやってくる人も少なくないそうだ。週末などには近隣の路上に、他道府県ナンバーの車が停まっているのを見かけることもあるのだという。しかし、そうした他地域での知名度とは裏腹に、地元民の中にはこの像の詳細を知らぬ者も少なくない。
「私もここいらに30年以上住んでいるけども、詳しいことはよくわからんよ。時々、手入れをしている人がいるみたいだけども…。え? よそのナンバーの車? それだったら、あそこの魚屋でやっているマグロの解体ショーでも見に来たんじゃないの?」
通常、この手の像が祀られている場所の傍らには、その由来やご利益などを記した碑文などが掲げられているものだが、この像の周囲には、そうしたものは一切見当たらない。あるのは草花と、閑散とした空気と静寂のみだ。しかし、何度もこの地を訪れればわかるように、時折、真新しい花が手向けてあり、また雑草がある程度伸びてくると、手入れをした痕跡があるなどといった変化が確認できる。それらはおそらく、時折この敷地内で見かける老女が、中心となって行っているものなのだろう。そうした意味を踏まえると、この像と敷地は、私設のパワースポットと言うべき代物なのかもしれない。
先日、久々にこの地を訪れた際に、このテル子女神像をとりまく多くの草木は、照り付ける太陽の下、ついにその全体を埋め尽くし、もはやゲームソフトの『ドラゴンクエスト4』のボスのひとりであるデスピサロを彷彿とさせる最終形態へと突入していた。
テル子像に似た横顔を持つ老女に会釈して、再び路地を歩き出すと、遠くから天麩羅を揚げる香ばしい油の香りが漂ってくる。下校途中の子供たちが吹くリコーダーの音が聞こえる。その深い蔦の中で、彼女のつぶらな瞳は、一体何を見つめているのだろうか。
(写真/文=Ian McEntire)
※ 本記事の内容を無断で転載・動画化し、YouTubeやブログなどにアップロードすることを固く禁じます。
関連記事
人気連載
“包帯だらけで笑いながら走り回るピエロ”を目撃した結果…【うえまつそうの連載:島流し奇譚】
現役の体育教師にしてありがながら、ベーシスト、そして怪談師の一面もあわせもつ、う...
2024.10.02 20:00心霊“ご利益不明”の私設パワースポット?東京・世田谷に鎮座する“テル子”女神像!!のページです。パワースポット、世田谷区、Ian McEntire、テル子像、三軒茶屋などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで