歯も爪も毛もない「無毛のファッションモデル」 ― 独創的な異型の美

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■人生の転機

 メラニーさんの人生に光が指したのは、ファッションモデルという天職にめぐり合ってからだ。モデルになることは、彼女にとって長年の夢でもあった。

「いつだって大きな魅力にとりつかれていました。看板や映画のスクリーンに登場したかったんです」

 ニューヨークに移り住んでモデルとしての活動を開始した彼女は、ドイツのヘビーメタルバンドであるラムシュタイン(RAMMSTEIN)のミュージックビデオに出演し、その後大きな成功を収めることとなった。

0908model_mirror02.jpg※画像:「mirror.co.uk」より

 彼女の容姿についての印象を最も端的に、かつ悪意に基づいて表現するならば、“醜怪”という表現を用いざるを得ない。事実、ロシアの新聞が発表した『TOP25 醜い有名人ランキング』の中に、彼女の名前が含まれていた。

 それにもかかわらず、メラニーさんがモデルとして評価を受けた背景には、彼女の容姿に宿る独創性が影響しているという。

 メラニーさん曰く、「山ほど仕事をこなしつつも、ステレオタイプに飽き飽きしていたファッションフォトグラファーたち」が、最初に彼女に対して興味を示した。美術学校に通いつつも、週末は撮影に明け暮れる日々。雪だるま式に彼女のキャリアは膨らんでいった。

※RAMMSTEIN:MV「YouTube」より


■彼女の独創性――常識を超えた美

0908model_comon.jpg※画像:「cosmopolitan.co.ukl」より

 衆目を集めることを目的としてビジネスを展開する人々は、しばしば常識とかけ離れた外見の演出に固執する。ファッションの聖地ともいえるパリのモデルたちは、極限のダイエットを通して、それを実現しようとした。

 そのひとつが、ひじや腰の骨が浮き出てしまうほどのダイエットを行った上での、普遍的な美や健康というものに逆行した外見の追求である。最高4万人が拒食症を患っているフランスではこうした風潮を戒めるため、「痩せすぎ」とみなされるモデルを雇用しているモデル事務所に禁固刑や罰金刑を科する法案を、今年4月に可決した。

 モデルたちを過度のダイエットに駆り立てるのは、衣装を提供するデザイナーたちの責任も大きい。大胆というよりも過度に絞られたカッティングの衣装は、棒切れのようにやせた人間でなければ着こなせない。さらに、モデルの足元を支える履物にしても、たった数十メートルの舞台の往復さえ難しくさせるような無茶なデザインの“芸術品”は珍しくない。

 ことの功罪はさておくとして、ファッションの先駆者たちが風変わりな外見に飢えていることは明らかだ。鑑賞者の好奇心を惹きつけることが、何よりも優先される世界なのである。

 メラニーさんは――決して幸運なことではないにせよ、無理なダイエットも撮影用の特殊メイクも必要とせずに、前衛性を志向する業界人が欲する素地をそなえていたわけだ。

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