【マンション杭打ち不正】首都直下地震で高層ビル倒壊?不正よりも怖い現実

■問題はまだまだ広がる?

 実は、横浜「パークシティLaLa」の販売主である三井不動産レジデンシャルの親会社、三井不動産では、建設中の別のマンションでも杭打ちに関する問題が発覚している。今月11日付の日刊ゲンダイによると、問題のマンションは東京23区の主要駅に近い好立地で建設が進められているという。当初は7月に分譲予定だったものが、近隣住民が建築工事の中止を求めて同社を提訴しているため、遅延が出ている。

 近隣住民の1人は、「この辺はもともと沼地だったので、地盤が緩い。道路が突然陥没したり、地下水が噴き出したこともあります。だから、近隣のビルは高くても7階建てまで。ところが、三井不動産側は“固い支持層まで杭を打つ”と言って、14階建て、高さ40メートルもある高層マンションを建てようとしているのです」(日刊ゲンダイ、2015年11月11日)と心配する。

 三井不動産は、杭が硬い地盤に到達する36mまで掘り進めると説明したが、ボーリング調査(パイプ状のロッドを地面に押し込み、地層を調べる調査)の結果などは内部事項のため開示できないとしており、調査自体が本当に行われたのかと疑問を抱く住民も多い。そもそも同社がボーリング調査をしたと説明する日には、まだ以前の土地所有者が住んでいたのだという。しかも近隣住民の不安を煽るように、工事が始まってからは下水管が破裂したり、隣のビルの花壇が傾いたりと、周囲の建造物に異変が出始めているというのだ。

 近隣住民にしてみれば、万が一大地震が起きてマンションが倒壊すれば、自分たちが住む住居に影響が及ぶかもしれないということだろう。「パークシティLaLa」の問題では、施工主やデベロッパーや旭化成建材などが責任のなすり合いをしているような状況だが、杭打ち業界全体で不正が常態化しているとすれば、建設業界全体への不信感が一層募っていくことになるだろう。

 いつどこで大地震が起きてもおかしくない現状で、大地震から生き延びるためには、今後「軟弱地盤の土地には住まない」というのが最大の優先事項になるのかもしれない。


百瀬直也(ももせ・なおや)
超常現象研究家、地震前兆研究家、ライター。25年のソフトウエア開発歴を生かしIT技術やデータ重視の調査研究が得意。ブログ:『探求三昧』、Web:『沙龍家』、Twitter:@noya_momose

※百瀬氏が企画・執筆したコンビニムック『2015予言 戦慄の未来記』(ダイアプレス)、大好評発売中!

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