「皆ぶっ殺して、俺だけ生き残る!」車の自動運転はサイコ野郎のためのもの、学者が警告

■自動運転車のモラル・ジレンマ

 当然だが、76%もの参加者が、「自動運転車は、被害を最小限にとどめるべき」だから、10人の歩行者が救えるように「壁に突っ込むべき」と判断した。倫理的に“正しい”判断といえるだろう。

 しかし、自分たちが買うとしたら「運転手を守ってくれる自動車」を選択するという、矛盾した結果となった。これが自動運転車のモラル・ジレンマ(moral dilemmas)である。

 自己中心的で偽善的にもみえる選択だが、自分ならどうするか考えてみて欲しい。やはり、ほとんどの方が同じ回答をするのではないだろうか? 多くの倫理的難問に完全解答が無いように、「自動運転車のモラル・ジレンマ」も誰もが頭を抱える普遍的難問なのだ。


■倫理的な自動車は要らない?

 ゆえに、「運転手と同乗者を守ってくれる自動運転車」と「被害を最小限にするためには、運転手も殺してしまう功利主義的な自動運転車」が市場に出回った場合、「功利主義的/倫理的な自動運転車」を欲しがる人は、ほとんどいないと考えられる。

 だが、いざとなったら「歩行者をひき殺す自動車」が、あちこち走り回っている世界が望ましいといえるだろうか?


 識者の中には、「功利主義的な政治家にとって最高の戦略は、自分に似た功利主義的な自動車の普及を諦めること」だと、皮肉めいた発言をするものもいる。

 自動運転車は、交通事故死を大幅に削減することを期待されているが、運転手を殺す可能性がある「功利主義的な自動車」が人々に受け入れられない場合、「より安全な自動運転車」が社会に流通しにくくなる可能性があるというのだ。

 今年2月には、グーグルが開発中の自動運転車がバスとの接触事故を起こしていることからも、自動運転技術がまだ不安要素を抱えていることは明らかだ。技術によるコントロールがままならない時にこそ、倫理的問題が立ち上がってくる。自動運転車の在り方を決める時、問われているのは人間のモラルだ。

参考: 「Science」、「Daily Mail」、ほか

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