150年前にジャック・ダニエルにウイスキーの作り方を教えたのは黒人の奴隷だったことが判明
かつてウイスキー蒸留所で働く労働者のほとんどは奴隷で、売られた奴隷の記録を見ると彼らのウイスキー製造の技術は高く評価されていたことがわかるらしい。しかし当時奴隷がもたらした貢献についてはほんの少ししか書かれておらず、どのように奴隷がアメリカのウイスキーを作ったかの手がかりは多くない。
ダニエルは自分の蒸留所を開くにあたって、グリーンの2人の息子を雇った。グリーンとその家族の持つ知識は蒸留所で重要な役目を果たしたという。その1例にジャック・ダニエルの伝統的な製法、「リンカーン・カウンティ・プロセス」がある。これは深さ3メートルの巨大な槽に敷き詰められたサトウカエデの炭で、ウイスキーの原酒を濾過するものだ。そして、その工程を経ることによって、ウイスキーにわずかに甘い香りがつくという。
歴史の本では1825年にテネシーのアルフレッド・イートンがこの技術を発明したことになっている。しかし専門家は、奴隷が自分たちの飲む酒をこっそりと造るときに行っていた方法 ― 炭によって不純物を除去する ― に由来している形跡があるという。したがってアメリカのウイスキー製造で使われる特定の方法は、ドイツや英国のものとは異なり、それはアフリカからもたらされた可能性が高いのだ。
■150周年を機に興味深いウイスキー開発の歴史を公表
ジャック・ダニエル社の社内歴史研究家ネルソン・エディは、「ニューヨーク・タイムズ」紙のインタビューに、グリーンの存在は実は以前から知られていたと話す。しかしなぜかグリーンと彼の家族の存在は、「ジャック・ダニエル」の歴史の中ですっかり隠されていた。
またグローバル・ブランド・ディレクターでジャック・ダニエルの蒸留所を60年間にわたって所有しているフィル ・ エップスは、社史からグリーンを省いたことは意図的ではないと語る。しかし同時に1800年代の南部は非常に人種偏見が強かったので、ジャック・ダニエルが黒人から伝来された技術によって製造された酒だという事実をわざわざ公にしようとは思わなかったであろうとも話す。エップスはその事実を知ったとき、これは我々にとって実は誇れることだと気づいたのだ。それはちょうど今年が150周年であるからだ。ジャック・ダニエル社は今年創業150周年を迎えた節目で、この興味深い歴史を祝いたいと考えている。今後ジャック・ダニエルの蒸溜所見学ツアーには、グリーンの名前が付け加えられる。
ジャック・ダニエル社が今回、グリーンの存在を公表したのは社会問題や人種問題に敏感なミレニアム世代(1980年代から2000年代初頭生まれの若者たち)を惹きつける格好の材料だからだと批評する人々もいる。しかしグリーンという一人の黒人奴隷が、アメリカのウイスキー製造に大きく関わっていたのは厳然たる事実である。今後もこのように多くの人の興味を引く隠された歴史が、次々と明るみに出ることが待ち望まれる。
(文=三橋ココ)
参考:「Daily Mail」、「Telegraph」ほか
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