【相模原19人刺殺】容疑者の主張は日本に根付く障害者“根絶”思想そのもの! つい最近まで日本も法律で障害者を断種していた

【相模原19人刺殺】容疑者の主張は日本に根付く障害者根絶思想そのもの! つい最近まで日本も法律で障害者を断種していたの画像1画像は「ANNnewsCH」より引用

 今月26日未明、神奈川県相模原市の障害者福祉施設に男が刃物を持って侵入し、入居者ら45人が刺される事件が発生した。被害者のうち19人が死亡、26人が重軽傷を負うという前代未聞の凶悪犯罪に、国内のみならず世界中に衝撃が走っている。

 戦後最悪レベルの大量殺人に及んだ容疑者は、施設の元職員・植松聖(26)。事件直後、植松容疑者が「施設を辞めさせられて恨んでいた」と話していることが伝えられ、解雇による逆恨みが動機かに思われた。しかしその後、同容疑者が今年2月に「妄想性障害により他人を傷つける恐れがある」と診断されて緊急措置入院していたこと、尿検査で大麻の陽性反応が出たこと、さらに「障害者を抹殺する」と記した手紙を衆院議長に渡そうとしていた事実などが次々と発覚。障害者に対する差別や偏見、一方的な恨みを募らせていた可能性が浮上している。


■容疑者は優生思想に取り憑かれていた!?

障害者は死んでくれた方がいい。その方が家族は楽だ。施設を回って10月までに600人殺す。まず自分がいた施設からやります
重度障害者の大量殺人は、日本国の指示があればいつでも実行する

 過去、このように語っていたという植松容疑者の言葉には、優生思想の一端が垣間見える。障害者福祉施設の職員として働いていた植松容疑者が、どの時点でこのような考えを抱くようになったのか、正確な経緯は今後の捜査を待たなければならないだろう。しかし、「障害の有無や人種等を基準に人の優劣を定め、優秀な者のみが存在を許される」という優生思想自体は、過去から現在に至るまでさまざまな形で受け継がれてきたという現実がある。

 とりわけ優生思想を全面に押し出し、国家ぐるみで“劣等種”の排除に動いていたナチス・ドイツの悪行は有名だ。彼らが主要な敵と位置づけたユダヤ人たちの虐殺もさることながら、数多くのロマ(ジプシー)や同性愛者、そして障害者たちが強制収容所に送られ、殺害された。ナチス・ドイツは「役に立たないのに食事が必要な人間」を特定することを国民に義務付け、安楽死の手順を公式に定めていたとされる。

■日本にも20年前まで障害者を排除する法律があった

 しかし、実はこのような優生思想に基づく国家的な差別と虐待が、ここ日本で、しかも近年に至るまで脈々と受け継がれてきたことを、今回のような凶悪事件を機として私たちはもう一度確認するべきだろう。

 ナチス・ドイツと同時期、大日本帝国においても国民皆兵と大和民族の健康維持という名のもと優生思想が広く浸透しており、1940年には「国民優生法」が成立。「劣悪な遺伝性疾患の素質を持つ者の増加を防ぎ、健全な素質をもつ国民の増加を図る」「戦争遂行のために、国家に奉仕できない者を養う必要はない」として遺伝性の身体障害者、精神障害者(現代における統合失調症、躁うつ病、てんかん等も含む)、さらに当時は完治することが難しかったハンセン病患者や、重度のアル中患者に対する強制的断種が合法化されてきた経緯があるのだ。

 そしてこの国民優生法は、第二次世界大戦後に「優生保護法」と名を変えたが、本人の同意なしに強制的断種(優生手術)を実行できる制度は受け継がれた。それだけならまだしも、強制的断種の対象が「らい病」や「遺伝性以外の精神病」にまで拡大されたのである。1949~94年の間に、優生思想に基づく断種が実に16,000件以上も行われたとの統計もある。このような不条理な法律は、1996年になってようやく「母体保護法」に改正され、現在は優生思想に基づく強制的断種が行われることはなくなった。しかし我が国において、わずか20年前まで、障害者を強制的に社会から排除する仕組みが維持されてきたことは紛れもない事実なのだ。

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