世界最古のオリンピック選手の遺骨が発見されていた!2500年前の強靭な肉体美と過酷な競技生活が判明
■食生活から競技種目まで判明
Baggieri氏によると、遺骨の身長は173cm、当時の平均身長より少し高い程度で、20~30代にかけて亡くなったことが分かったそうだ。また、食生活もアスリートそのもので、魚介類や肉類を豊富に摂取していた一方、炭水化物は少なめに抑えていた形跡があるという。
さらに、右肩間接の磨耗状態、背中(僧帽筋)と肩(三角筋)の発達、前腕尺骨の長さから、このオリンピアンが円盤投げ選手だったことが強く示唆されているという。それに加え、太ももの筋肉の肥大から、立幅跳選手としても活躍していた可能性があるそうだ。これほどの筋肉量ならば、3メートルほどは軽々とジャンプできるとのこと。
その証拠に、遺骨とともに3つ埋葬されていたアンフォラという陶器の1つには、走幅跳、円盤投げ、槍投げ、レスリング、スタディオン走(短距離走)を含む五種競技の絵が描かれている。残る2つのアンフォラには、それぞれボクシング(もしくはレスリング)と戦車競走が描かれているが、遺骨に打撃による歯や顎の損傷などが見られないため、彼がボクサーやレスラーとして活躍していたかは不明とのこと。戦車競走に関して、これまでの研究では、このオリンピアンは選手ではなく、戦車競走のスポンサーだったと考えているようだ。それというのも、古代ギリシアにおいて五種競技の勝者に与えられる賞金は多額であったため、その賞金で戦車を誰かのために購入した可能性があるからだ。だが、調査チームのリーダーであるBaggieri氏は、脊椎下部の磨耗はデコボコした地面を戦車で走った証拠だと主張しており、両者の意見は対立している。
このように遺骨から様々なことが判明したが、外傷がないためどうしても死因は特定できないそうだ。抗生物質が存在しなかった当時、死因となる疾患は数多くあったとBaggieri氏はいう。
また、この遺骨に関する歴史的資料が欠如しているため、実際に古代オリンピックに参加していたかも断定できない。さらに、古代オリンピックの優勝者にはオリーブの冠が与えられていたが、2500年前の墓地から植物の残滓を発見することは至難だという。このように物的な証拠は乏しいが、考古学者らがいうには、五種競技大会で優秀な成績を残していれば、間違いなくオリュンピア祭に招待されていたとのこと。
いずれにしろ、これまで発見された「古代オリンピックと関連がある遺骨」はこの1つだけだ。彼の他にも無数の古代アスリート達が今も地中に眠っていることだろう。映像に残されなかった彼らの勇姿が、今後の調査で少しでも明らかになることを切に願う。
(編集部)
参考:「Forbes」、ほか
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2024.10.02 20:00心霊世界最古のオリンピック選手の遺骨が発見されていた!2500年前の強靭な肉体美と過酷な競技生活が判明のページです。ギリシア、奇形、遺骨、リオ五輪、古代オリンピックなどの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで