アレクサンドロス大王の父親、フィリッポス2世の遺骨発見!! 史実を覆す発見か?=ギリシャ
時はギリシャ紀元前4世紀――。古代マケドニア王フィリッポス2世と聞いてすぐにピンと来る人は多くないかもしれないが、かのアレクサンドロス大王の父親と聞くとなんとなく見当がつく人も多いのではないだろうか。突出した政治センス、軍事、外交、謀略に優れ息子に劣らぬ偉大な王として勇名を馳せている。
■フィリッポス2世の墓が特定される
マケドニア王家の墳墓は40年前にギリシャ・ヴェルギナで発見されていたが、埋葬されていた個人の特定までには至っておらず、長年考古学者や人類学者など研究者の頭を悩ませていた。だが、最近行われた調査により、フィリッポス2世の墓が特定されたという。
研究に関わっているのは世界屈指の古人類学者であるマドリード大学教授、フアン・ルイス・アルスアガ氏らのグループで、最新のスキャナー技術とX線を用いた調査が行われた。
王家の墳墓は計3室あり、以前1977年~78年にかけて発掘され、第1墳墓及び第2墳墓より2体の男性の骨格が見つかっていた。第1墳墓から発見された男性の遺骨は身長が約180cmで、古代のものとしては際立って長身であったことがみてとれ、年齢はおよそ45歳付近、膝の部分に大きな穴があき、骨が癒着して関節が動かなくなっているという。
この負傷の様子から、おそらく足はおぼつかなくなり、頭を片方に傾けていたと推測される。これはフィリッポス2世が大男であったこと、そして紀元前336年に暗殺されるその3年前(45歳頃)に当時の争いの中で瀕死の重傷を負い片脚が不自由になっていた、という文献の記述と一致しており、この遺骨がフィリッポス2世のものである強力な裏付けとなっている。
発掘当初、多くの古代学者らはフィリッポス2世が第2墳墓に埋葬されたものと考えていたが、第2墳墓にあった遺骨には負傷しているはずの痕跡が見られなかったという。最近の研究で、アレクサンドロス大王の異母兄弟で大王の死後に王座についたアリダイオスとその妻エウリュディケが第2墳墓に埋葬された可能性が示唆されている。
また第1墳墓には10代の若い女性と乳幼児のものと思われる遺骨も一緒に埋葬されており、そちらは最後(7番目)の妻であるクレオパトラ=エウリュディケと二人の間の幼い子どもではないかと推測されているようである。
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