この世界は「データ圧縮」されている!? 物理学者が提唱する“シミュレーション仮説”の決定的証拠とは

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「この世界は仮想現実(シミュレーション)である」

 映画『マトリックス』の設定として有名なこの仮説だが、もはや単なるSFの絵空事ではないかもしれない。

 ポーツマス大学のメルヴィン・ヴォプソン博士は、この世界がデジタルデータによって構築されていることを示す「証拠」を見つけたと主張している。

 彼が提唱する「情報力学第二法則」によれば、宇宙にはコンピューターのような「データ最適化」と「圧縮」のメカニズムが組み込まれているというのだ。

エントロピーが増大しない? 物理法則の「矛盾」

 ヴォプソン博士の理論の出発点は、物理学の基本中の基本である「熱力学第二法則」だ。

 この法則によれば、閉じた系におけるエントロピー(無秩序さ)は常に増大するか、一定に保たれる。部屋を片付けないと勝手に散らかるように、宇宙も放っておけば乱雑になっていくのが自然の理だ。

 しかし、ヴォプソン博士が情報システムにおけるエントロピーを調査したところ、奇妙な現象に突き当たった。情報の乱雑さは増えるどころか、一定に保たれるか、むしろ減少して最小値に落ち着く傾向があったのだ。

 これは熱力学の法則に真っ向から反する。そこで彼は、これを「情報力学(インフォダイナミクス)第二法則」と名付けた。

ウイルス変異に見る「データの最適化」

 この法則は、宇宙論から生物学まで幅広い分野に応用できるという。

 例えば、新型コロナウイルスの変異データを解析した結果、変異はランダムに起きているのではなく、情報エントロピーを最小化するように起きていることが判明したという。

 つまり、生物の進化ですら、ダーウィンの言う「ランダムな変異と自然淘汰」ではなく、何らかのプログラムによる「データ圧縮」や「コードの最適化」プロセスである可能性があるというのだ。

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宇宙は「容量節約」のために圧縮されている

 そしてここからが核心だ。ヴォプソン博士はこう主張する。

「我々のような超複雑な宇宙をシミュレーションしようとすれば、計算能力とデータ保存容量を節約するために、データの最適化と圧縮が不可欠になるはずだ」

 デジタルデータ、生物の遺伝情報、数学的な対称性、そして宇宙全体で見られる「エントロピーの減少(最適化)」。これらはすべて、シミュレーターがシステムへの負荷を減らすために行っている「データ圧縮」の痕跡なのか?

 もしそうなら、我々が見ている現実は、高画質の動画配信のように、見えないところで効率的にエンコードされたデータストリームに過ぎないことになる。

 もちろん、この説にはまだ多くの検証が必要であり、科学界でも賛否両論が渦巻いている。

 しかし、「なぜ世界はこれほど数学的に美しいのか?」という古くからの問いに対し、「誰かが効率よくプログラムしたからだ」という答えは、ある種の説得力を持って響いてくる。

 次にあなたが鏡を見るとき、そこに映っているのは肉体ではなく、巧妙にレンダリングされたアバターなのかもしれない。そして、ふとした瞬間に世界の「処理落ち」を目撃してしまったら……それはシステムからの警告かもしれない。

参考:Popular Mechanics、ほか

TOCANA編集部

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