【閲覧注意】世界の美しすぎる死体9 ― 信じられないほどの生命感

「死体」という言葉には怖くおぞましくグロテスクなイメージが付きまとう。しかし世界には、「美しい死体」というものも存在するのだ。それらは葬儀屋の素晴らしい手業によって作り上げられた作品もあるが、自然によって作られた作品もある。今回はそれらの中から選りすぐりの「美しすぎる信じられない死体」を紹介したい。

9. エッツィ(Otzi)

【閲覧注意】世界の美しすぎる死体9 ― 信じられないほどの生命感の画像1エッツィ 画像は「Wikimedia Commons」より

 エッツィ(アイスマン)はヨーロッパで発見された銅器時代の最も古いミイラだ。発見された場所(エッツタール)にちなんでオーストリアの新聞記者が「エッツィ」と命名した。エッツィは、紀元前3359年から3105年の間に、イタリアの南チロル地方に住んでいたらしい。エッツィは草と革の服を着て、斧やナイフ、矢筒を持ち、ポケットには木の実が入っていた。直接の死因は頭を砕かれた事だと考えられている。

8. トーロンマン(Tollund Man)

【閲覧注意】世界の美しすぎる死体9 ― 信じられないほどの生命感の画像2トーロンマン 画像は「Wikipedia」より

 トーロンマンはデンマークのユトランド半島で紀元前4世紀に生きていた男性の遺体が死蝋化したものだ。彼は1950年にピート・ボグ(蓄積した泥炭湿地)の中から発見されたが、トーロンマンは湿地によって非常によい状態で保存されていたので、死体を発見した地元の人間は最近の殺人の被害者だと思い込んでしまったと言う。彼は革製のとがった帽子をかぶり、首には縄が巻き付いていた。トーロンマンは生贄として絞首されたと推測されている。

7. ウラジミール・レーニン(VLADIMIR LENIN)

【閲覧注意】世界の美しすぎる死体9 ― 信じられないほどの生命感の画像3ウラジミール・レーニン 「Emlii」より

 この有名な革命家は1924年に死亡したが、彼の遺体は現在でもモスクワのレーニン廟に置かれ、ロシア国民に公開されている。当初、死体の保存法として「人体冷凍保存」も考えられたが、様々な事情を考慮した結果「エンバーミング(死体防腐処理)」に落ち着いた。現在、レーニンの死体を保つため1年半に1回、薬液の注入や保存液の取り換え等のメインテナンスが行われている。見る人全てがレーニンの遺体が生きている様な肌をしている事に驚愕するが、肌はパラフィン、グリセリン、カロチン等の物質に取り換えられていると言う。

6. ロザリア・ロンバード(ROSALIA LOMBARDO)

【閲覧注意】世界の美しすぎる死体9 ― 信じられないほどの生命感の画像4ロザリア・ロンバード 画像は「Wikipedia」より

 1920年、ロザリアは2歳の誕生日の直前に肺炎で死亡している。父親は嘆き悲しみ死体処理専門家に頼んで、ホルマリン、アルコール、サリチル酸、グリセリン等によって娘をまるで寝ている様に保存した。今もロザリアの遺体はシシリー島パレルモのカプチン会地下墓地の深い所に保管されている。

5. 辛追(LADY XIN ZHUI)

【閲覧注意】世界の美しすぎる死体9 ― 信じられないほどの生命感の画像5辛追 画像は「Wikipedia」より

 世界で最も良い状態で保存されたミイラは、漢朝の政治家であった利蒼の妻で紀元前163年に死んだ辛追であろう。彼女の墓は1972年に発見されたが、遺体には損傷がほとんど無く、肌は柔らかく湿り気をおびており、血管には血液が残っていたと言う。科学者達は遺体を解剖し辛追が50歳前後で死亡した事、肥満体だった事、様々な成人病を患っていた事等が判明した。辛追の直接の死因は心臓病、亡くなる直前に多量に食べた西瓜の種が遺体に残っていたと言う。

4. ダシ=ドルジョ・イチゲロフ(DASHI-DORZHO ITIGILOV)

【閲覧注意】世界の美しすぎる死体9 ― 信じられないほどの生命感の画像6ダシ=ドルジョ・イチゲロフ 「The Line Up」より

 ダシ=ドルジョ・イチゲロフはブリヤート族出身のラマ僧である。イチゲロフは1927年に蓮の花のポーズで瞑想をしながら、息を引き取ったが、埋葬後再び掘り出すように遺言を残した。イチゲロフの遺体は遺言通り、1955年に地中から掘り出されたが、埋められた時とポーズが全く変わって居なかった事に人々は驚いた。その後も彼の遺体は崩れず、彼の遺体は「即身仏」として、寺に安置されている。

3. ラ・ドンセーヤ(LA DONCELLA)

【閲覧注意】世界の美しすぎる死体9 ― 信じられないほどの生命感の画像7ラ・ドンセーヤ 画像は「Wikipedia」より

 1999年にアルゼンチンとチリの国境に位置するユーヤイヤコ(Llullaillaco)山で見つかったインカ人の子供のミイラ3体のうちの1体。「ラ・ドンセーヤ」は「乙女」の意味で死亡当時13歳から15歳くらい、他の子供は7歳くらいの男児と6歳くらいの女児であった。「ラ・ドンセーヤ」を検死した科学者たちは、子供達は生贄としてコカの葉とビールを与えられ、山頂に置き去りにされて凍死したと考えている。

2. ジョン・トリントン(JOHN TORRINGTON)

【閲覧注意】世界の美しすぎる死体9 ― 信じられないほどの生命感の画像8ジョン・トリントン  「The Line Up」より

「フランクリン遠征」は1845年に英国を出発したイギリスの北極海探検航海だ。22歳のジョン・トリントンは乗組員としてこの遠征に参加中、鉛中毒により死亡し凍土に埋葬された。1984年に科学者が調査の為、トリントンの墓を掘り起こしたところ、遺体は完全に冷凍保存されていた。トリントンの眼を見開き、笑っている様な遺体の写真は世界にショックを与えたと言う。

 この悪名高い遠征ではフランクリンを含む隊員129名全員が死亡し、幾つもの捜索隊が彼らの足取りを追った。そこで見つかった遺骨の検査の結果、彼らは最終的に飢えから人肉食を行った事が分かっている。

1. 聖ジータ(SAINT ZITA)

【閲覧注意】世界の美しすぎる死体9 ― 信じられないほどの生命感の画像9聖ジータ 画像は「Wikipedia」より

 聖ジータはメイドや家事使用人の守護聖人として知られる。彼女はイタリアのトスカーナに生まれ、12歳の時にメイドになり主人一家に48年もの間、忍耐強く仕えた。ジータが1272年に60歳で死んだ後、教会の鐘がひとりでに鳴り出し、他にも150もの奇跡が起きたと言い伝えられている。ジータの棺は1580年に発見されたが遺体はほとんど変化しておらず、その後「聖ジータ」として1696年に聖人に列に加えられた。聖ジータの棺は彼女の故郷のルッカにある教会で見られる。

 人為的に保存された死体、自然によって保存された死体の違いはあるが、朽ち果てずに展示されている死体たち。彼らが永遠の眠りにつく日は、やがて来るのであろうか。
(文=三橋ココ)

参考:「The Line Up」、「Medical Daily」ほか

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