サハラ砂漠化の真犯人は8000年前に「牧畜」を始めた人類だった!?驚愕の新説

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イメージ画像 Created with AI image generation (OpenAI)

 アフリカ大陸北部に不毛の砂漠地帯が広がった原因は人間にあったのか――。最近の研究では大昔の人間が結果的にサハラ砂漠を作ったという斬新な仮説が登場している。

■サハラ砂漠は人間が作った!?

 荒涼たる砂漠が広がるアフリカのサハラ砂漠だが、1万年前には現在よりも降水量が多く、緑豊かな環境であったことがわかっており、この時期はアフリカ湿潤期(African Humid Period、AHP)と呼ばれている。

 砂漠化したのは地球の軌道の変化に起因するというのが今のところの“定説”となっているが、最近の研究では、サハラ砂漠を現在の人が住めない環境へと変化させた“犯人”は人間だったのではないかという説が提起されている。

 ソウル国立大学の考古学者デイビッド・ライト氏が2017年1月に「Frontiers in Earth Science」で発表した研究論文は、サハラ砂漠を巨大な砂漠に変えた主な原動力として地球の軌道の変化や植生の自然変化を示唆するこれまでのほとんどの研究の結論に反論している。

 ライト氏は自らの仮説を検証するため、サハラ砂漠以南の地域全体で最初の放牧が行われたことを記録した考古学的証拠を調査し、それを砂漠化に向かう生態学的変化の指標である低木植生の拡大を示す記録と比較した。

 研究論文によると、すべては約8000年前、アフリカの新石器時代のコミュニティがナイル川付近で牧畜農業を試み始めたことから始まった。この放牧技術は徐々に西へと広がり、コミュニティが広がるにつれて大量の家畜が導入され、家畜の放牧と飼育のために植生が激しく消費されるようになった。

 この大規模な変化により、地表の植生のメインは低木となり、太陽光線を遮るものがなくなった。これにより一帯の地表に降り注ぐ太陽光の量が増加し、大気の状態も変化した。

 ライト氏によれば、この変化によりモンスーンの降雨量が減り、植生が消耗し砂漠化がさらに進んだという。

 この砂漠化のサイクルは長年にわたって続き最終的にアメリカ全国土と同じくらいの広さの地域を“テラフォーミング”して、今日我々が目にするサハラ砂漠になったという。

 ライト氏は地表の下に多くの痕跡が隠されていると確信しており「当時、サハラ砂漠には至る所に湖があり、そこに植生の変化の記録が残っているはずです」と声明で述べている。

「かつての湖底を掘削して植生の記録を入手し、考古学的遺物を調べ、人々がそこで何をしていたのかを解明する必要があります。植生が気候システムに与える影響をモデル化するのは非常に困難です。考古学者や生態学者として、現地に赴いてデータを収集し、より洗練されたモデルの構築に貢献することが私たちの仕事です」(ライト氏)

 数千年前に起こった出来事であるにもかかわらず、環境と気候の悪化の原因が人間にあるとするライト氏の仮説は考えてみれば妥当そうにも思えてくる。

 世界人口の約15%が砂漠地帯に住んでいることから、ライト氏はこの発見の重要性を力説し「生態系をどう変えるかが、人類が乾燥した環境で永久に生き残れるかどうかに直接影響します」と述べる。

 サハラ砂漠では現在、「グレート・グリーン・ウォール」と呼ばれる大規模な緑化プロジェクトが進行中だ。このプロジェクトは、サハラ砂漠の南の縁に沿って、東西約8000kmにわたる緑の壁を築き、砂漠化の進行を食い止め、生態系を再生することを目指している。人間が原因で砂漠化した地域は、人手によって“原状回復”すべきということなのだろう。

参考:「Ancient Code」ほか

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文=仲田しんじ

場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。
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