まるでレーザーで切断された巨岩、サウジアラビアの砂漠に佇む「アル・ナスラ」の完璧すぎる亀裂の謎

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By DisderoOwn work, CC BY-SA 4.0, Link

 サウジアラビアのタイマ・オアシスから南へ約50キロメートル。そこに、地球上で最も不可解な地質学的形成物の一つが存在する。「アル・ナスラ(Al Naslaa)」と呼ばれるこの巨大な岩は、幅約9メートルもありながら、小さな台座の上で絶妙なバランスを保っている。そして何より奇妙なのは、その中央が真っ二つに、まるでレーザーで切断されたかのように完璧に割れていることだ。

 この割れ目はあまりにも真っ直ぐで、岩の不安定さにもかかわらず、何世紀にもわたってその隙間を保ち続けている。その姿はまるで重力を無視して浮いているかのようで、一部の人々が「宇宙人の仕業ではないか」と考えるのも無理はない。しかし、興奮する前に落ち着こう。このミステリーには、地球科学に基づくいくつかの有力な説が存在する。

風化か、断層か? 自然が生んだ奇跡のメカニズム

 アル・ナスラの完璧な切断面がどのように形成されたのかについては、いくつかの仮説がある。一つは、岩が断層線上に位置しており、地盤のズレによって弱い部分が裂けたという説だ。この亀裂が風の通り道となり、何千年もの間、砂を含んだ風が吹き抜けることで、切断面が研磨され、滑らかになった可能性がある。

 また、「節理(joint)」と呼ばれる現象である可能性も高い。これは地質学用語で、岩石にズレを伴わずに自然に生じる割れ目のことを指す。節理はしばしば驚くほど直線的になることがあり、アル・ナスラの形状とも合致する。

 さらに、凍結融解風化説も有力だ。かつて岩の小さなひびに水が入り込み、凍結して膨張することで亀裂を広げたというものだ。氷河期が終わり氷が溶けた後、そこには完璧な割れ目だけが残されたのかもしれない。ちなみに、岩を支える台座のような形状は「キノコ岩」と呼ばれ、砂漠地帯では風化作用によってよく見られる地形である。

人工物説と古代のペトログリフ

 アル・ナスラは単なる奇岩ではない。その表面には、アラビア馬やアイベックス(野生のヤギ)、人間を描いた古代のペトログリフ(岩面彫刻)が刻まれている。数千年前に遡るとされるこれらの彫刻は、かつてこの地を行き交った人々の存在を今に伝えている。

 砂岩は比較的柔らかい岩石であるため、古代人が金属製の道具を使って人為的に岩を切断したという説も完全には否定できない。もしそうなら、それは地理的なランドマークや宗教的な意味を持っていたのかもしれないし、あるいは単なる芸術表現だったのかもしれない。

 いずれにせよ、アル・ナスラは自然の驚異と人類の歴史が交差するミステリアスな場所だ。もしサウジアラビアを訪れる機会があれば、この不思議な岩の謎解きに挑戦してみてはいかがだろうか。

参考:IFLScience、ほか

TOCANA編集部

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