9月上旬、“平成生まれの戦場カメラマン”としてトカナでも取材したスラムカメラマンの吉田尚弘がイラク最後のIS拠点モスル近郊の最前線基地に潜入取材した。この記事はその頃書かれたものである――。
【吉田の取材ポイント】
撮影:新納翔
2014年より、誕生を宣言し世界中にテロという脅威を広げているのがIS(ダーイッシュ)です。そのISの最大拠点のひとつとされているのが、イラクのモースルと呼ばれる街で、現在はISが同地域を支配しています。その一方で、現在イラク国軍とアメリカをはじめとした多国籍軍がモースルに進軍し、対ISの一掃作戦を開始しました。また、モースル近郊にはイラクのクルド人自治区があり、モースルから逃れる難民や国軍によって保護された一般人が逃げ込んでおり、現地では世界中のメディアが日々取材活動を行っております。その中でも、非常に注目されている前線がバーシックフロントラインといわれています。この前線が注目をされる理由は、モースルから逃げ出した人々がここを通過して逃げこむことと、ISとの陣地の距離の近さにあります。
私は、この前線で攻防戦を続けているクルド軍事組織ペシュメルガに従軍し、報道されているニュースの戦闘部分以外の、前線で戦う人々の裏側の生活に密着して取材を行いました。取材では、戦場という場所で闘いながら家族を思う家族愛や、かれらの生活に必要なお金、そしてキャンプでの生活そのものを感じ取ることができ、戦争という物事を改めて異なる視点より再確認できました。