失った耳を腕で培養して再建→側頭部にくっつけて完成! 最先端外科手術の様子がキモスゴい=中国
再建外科という医療分野をご存知だろうか。先天的な異常、事故などによる怪我、病気の手術等で欠損した部分を正常な状態に戻す専門領域だ。近年、この分野の研究が飛躍的に進み、自分の体で移植用のパーツを培養するという、SFのような技術が現実になっている。今月9日付の英紙「Daily Mail」でその衝撃的な治療の光景が紹介された。記事によると、なんと今回の患者は、自らの腕で自らの耳を培養しているというのだ。
■バラバラにちぎれてしまった耳は、諦める
治療を受けているのは、中国・陕西省に暮らす男性である。彼は1年ほど前に交通事故に遭い、右頬と右耳に大きな損傷を負ってしまった。治療のために何度も手術を受けたが、バラバラにちぎれてしまった耳の再建は、従来の再建法では難しかった。
そこで彼が頼ったのが、西安交通大学第一附属医院の形成外科医である郭淑忠氏だ。彼は中国の形成外科の第一人者で、2006年には同国初の顔面移植にも成功している。
■驚愕の手術手順
今回の治療法は、次のようなものだ。まず、患者の右前腕に拡張器を埋めて皮膚を伸ばし、耳の原型を埋めるための空間を作る。次に、肋骨の軟骨を取り出して耳の骨格を作る。患者本人の組織を使うため、拒絶反応などが起こりにくいという利点がある。この骨格を腕の皮膚を伸ばした中に埋め込むと、その周囲に新しい細胞が増殖して移植用の耳が培養される。そのまま3~4カ月待てば、新しい耳のでき上がりというわけだ。最後にこの耳を切り出し、失った右耳の部分に接合する手術を行う。
現在、患者の腕には耳の骨格が移植され、十分に成長するのを待っている段階だ。4カ月後に男性は新しい耳を得ることになるが、手術後の腫れが引き、時間が経つごとに、より自然な耳へと修復されるとみられる。
この手法は2012年にアメリカで初めて行われ、成功を収めている。また、これまでに指なども同じ手法で培養され、移植手術に成功しているという。まったく驚くべきアイデアであるが、この技術が一般化すれば多くの人々を救うであろうことは想像に難くない。
(吉井いつき)
参考:「The Daily Mailk」、ほか
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