廃墟と化した東ドイツ随一の遊園地シュプレーパーク
ベルリンが人々を惹き付けて止まない理由はなんだろう。アイルランド出身のジャーナリスト、キアラン・ファーヘイ氏の邦訳新刊『ベルリン廃墟大全』(青土社)を開くと、その街に秘められたダークな魅力の正体がみえてくる。
100年近い歴史を誇った製氷工場
遊園地シュプレーパーク、ビール工場ベーレングヴェル・ブルワリー、100年近い歴史を誇った製氷工場、超巨大ルーダースドルフ化学工場、地下24メートルのホーネッカー核シェルターなどは、東西統一後に打ち捨てられた東ドイツのダークな遺産といえる廃墟である。また、ホーヘンリューヘン療養所やブッフ森林治療院はナチス時代の人体実験を思い起こさせるおぞましい歴史を内包し、核兵器を隠していた街フォーゲルサンクはソ連が強大であった冷戦時代の傷跡をいまも残している。それらをみていると、ベルリンはすべて廃墟になってしまったような錯覚に襲われる。だが、それこそがベルリンの魅力だ。