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巨大なレーダードームが残るトイフェルスベルク
ファーヘイがベルリンの数奇な運命を象徴する廃墟として取り上げているのが「トイフェルスベルク(悪魔の山)」だ。それには、ともするとコンドームを連想させらる印象的な外観を持つ建造物が残っている。
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トイフェルスベルクのタワーの内部
「トイフェルスベルク」はナチスの主任建築家アルベルト・シュペーアが設計した防衛機関学校の場所であったという。シュペーアといえば、ヒトラーの肝いりで推進された首都改造開発計画「ゲルマニア計画」の設計を担った人物である。彼はすべての建築は後世においてローマ遺跡のように美しい廃墟になるように建てられるべきであるという理論の持ち主で、彼が設計した学校は完成途中であったがあまりの強固さゆえに解体出来なかったのだ。そのため、瓦礫を上からかぶせてできた人工の山が「トイフェルスベルク」である。ベルリンは平地が多く、その山は通信傍受に適していたため、冷戦時代にはイギリスとアメリカが共同して、3つの巨大なレーダードームが建てられた。西側諸国がここからソ連や東ドイツを傍受監視したのだ。