核兵器を隠していた街フォーゲルサンク
ベルリンにおける廃墟はただの廃墟ではなく、その地が積み重ねてきた歴史を反映し、ナチス、ソ連、東西分断、冷戦といった20世紀の歴史を背負い込んできたダークツーリズムの名所揃いである。とはいえ、ファーヘイが紹介する廃墟は「立入禁止」であるところも多い。だからこそ、彼のカメラの目を通じて、ベルリンの廃墟を旅することの重要性が際立つとともに、それらを通じて、ドイツと同時期に敗戦を体験した日本という僕らの過去についても思いを巡らせてしまうのである。
』(青土社)
定価:本体2600円+税 絶賛発売中!失われたベルリンを求めて。半壊した娯楽の宮殿、停止した工場、崩れかかった病院、無人の軍事施設…。廃墟に魅入られたジャーナリストが、ベルリンの様々な場所に点在する廃墟をめぐり、それらにまつわる歴史を紐解く。過去と現在のはざまに浮かんだ、神秘的な世界の面影がいま私たちの目の前に現れる。
【目次】
まえがき/解剖学研究所/グリューナウ社交場/ベーレンクヴェル・ブルワリー/ベーリッツ療養所/ルーダースドルフ化学工場/製氷工場/エリザベト療養所/グリューナウ放送局/ガルバーティタバコ製作所/グラボージー療養所/バーナウ陸軍制服事務局/ホーヘンリューヘン療養所/ホーネッカー・シェルター/イラク大使館/クランプニッツ兵舎/ヒンダラー邸跡/ラガー・コラッレ/オリンピック選手村/ジーメンス線/シュプレーパーク/SSベーカリー/ガソリンスタンド/トイフェルスベルク/フォーゲルサンク/ブンランケンブルク人民警察宿舎/ブッフ森林治療院/ヴァーナーバード/森の町ヴュンスドルフ
キアラン・ファーヘイ(Ciarán Fahey)
アイルランド出身のジャーナリスト。2008年にベルリンに移住してから、ドイツの首都にちらばる廃墟――見捨てられた場所――に魅了されてきた。それらを撮影した写真とレポートをブログ「ABANDONED BERLIN」(www.abandonedberlin.com)にアップし続けている。このサイトはイギリスのガーディアン紙の「世界で最も素晴らしいシティブログ」にドイツからは唯一選ばれている。
ケロッピー前田
1965年東京生まれ、千葉大学工学部卒、白夜書房(コアマガジン)を経てフリーランスに。世界のアンダーグラウンドカルチャーを現場レポート、若者向けカルチャー誌『ブブカ』『バースト』『タトゥー・バースト』(ともに白夜書房/コアマガジン)などで活躍し、海外の身体改造の最前線を日本に紹介してきた。近年は、ハッカー、現代アート、陰謀論などのジャンルにおいても海外情報収集能力を駆使した執筆を展開している。前田亮一『今を生き抜くための70年代オカルト』(光文社新書)が話題に。新刊『クレイジートリップ』(三才ブックス)絶賛発売中!
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