日本人が箸を横に置くのは霊界との「結界」を意味していた!? 知られざる箸文化の奥深さを徹底解説
読者の方は食事を食べる時、箸を横に置くだろうか、それとも縦に置くだろうか? または「そんな事、イチイチ気にしていられない」という人もいるかもしれない。しかし、現代に生きる魔女である筆者は、ぜひとも箸を横に置くことをお勧めしたい。なぜならば、箸は“あの世との結界を作るもの”なのだ!
――といっても、これだけでは「また魔女が訳のわからないことを……」と言われるだろうから、まずは箸の歴史からご説明したい。
■日本における箸文化の歴史
日本で箸が使われるようになったのは、今から約1400年前のこと。箸を広めたのは日本史で一番のヒーロー、ズバリあの聖徳太子(厩戸王)である。聖徳太子は、当時の中国(随)に小野妹子をはじめとする「遣隋使」と呼ばれる使節団を送り、隋の気品溢れる「箸の作法」に大いに感激した。
それもそのはず、当時の日本には祭祀に用いられた「折箸(おりばし)」は存在したが、食事は専ら手づかみで食べられていたのだ。「手づかみの食事スタイル」は、隋の風習からすると「原始的で野蛮な国」と思われる恐れがあったのだ。隋との外交・貿易は当時の国家の最優先事項であったため、そのように見なされたら一大事である。
そこで、聖徳太子は箸を使う文化をまず朝廷に広めた。そして時代が流れ、箸の作法はやがて庶民にまで広まっていく。しかし、ここで日本の箸文化は独自の進化を遂げる。一般的に、中国や韓国では箸を縦に置くのだが、日本では箸を横に置くようになったのだ。では、なぜ日本人は箸を横に置くようになったのか?
■日本人の精神性に深く根差した箸の作法
日本人は古来より森羅万象に神が宿るという「八百万の神」の思想を持っている。そして「一粒の米にも7人の神様が宿る」という言葉に象徴されるほど、自然界からの恵みである食べ物には魂が宿っている、と考えてきた。実は、「箸」とは「橋」につながる言葉でもあり、神聖な自然の霊界と人間の住む現実世界とを分ける“結界”としての意味も込められていたのだ! つまり、「箸(橋)の向こうは自然の霊界、箸(橋)からこちら側は人間界」と解釈されるのだ。
手を合わせて、「いただきます」と一礼してから初めて箸を手に取るのも、自然の霊界への弔いの意味がある。仏教・神道・キリスト教・イスラム教でも、手を合わせるという行為には祈りの意味があるが、「いただきます」という言葉も弔いの祈りにほかならない。そうして、霊を弔ってから、初めて箸を手にして、結界を解き、神聖な食べ物を口に運ぶのだ。
もうひとつ、箸を縦に置くのは「尖った箸の先を、食卓を共にする人に向けるのは失礼」という理由もあるが、これはご存知の人も多いことだろう。
いずれにしても箸を横に置く作法は、日本の自然崇拝、相手への敬い、謙譲の精神を象徴した、継承されるべき素晴らしい文化である。魔女である筆者の考えだが、特に人間の食糧になるために殺される動物の肉を食す時には、必ず箸を横に置いて、動物の供養をされた方が望ましいように思う。
深月ユリア
ポーランドの魔女とアイヌのシャーマンの血をひき、魔女占い師・魔女優・オカルトライター・ホラー映画プロデューサーとして国内外で活動。深月事務所代表、TR総合探偵事務所で心霊捜査担当。最新刊『あなたも霊視ができる本』(文芸社)大好評発売中!
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