ハーバード大教授が「2年以内にマンモス復活させる」宣言! 研究の“真の目的”について理学博士が緊急解説
■理学博士が熱弁! マンモファント誕生の意義
それにしても、たった2年でマンモスのゲノムが完成するのだろうか。この驚くべきニュースについて、生物学に詳しい理学博士X氏に解説を依頼した。
「編集する遺伝子がどれだけあるかによりますが、2年もあれば完成する可能性は高いでしょう。アジアゾウのゲノムのうち、一部の遺伝子をマンモスの遺伝子に書き換えているだけなので、アジアゾウの細胞を使って比較的簡単に胚までもっていけるのではないでしょうか。その点、遺伝子の欠損部分をカエルのDNAで補完した映画『ジュラシック・パーク』とは違います」(X博士)
CRISPR/Cas9の登場によって、ゲノム編集は安価で簡単なものになった。X氏は今回の計画について、ゲノム編集による生物改変の実績を積むことが真の目的だろうと見ている。
「マンモファントは厳密にはケナガマンモスではありません。以前、チャーチ氏自身も語っているように、“マンモスによく似た形をしたアジアゾウ”に過ぎません。マンモスの復活という、ビビットで注目を集めやすい名目で、派手にぶち上げている側面は否定できないでしょう。研究にはお金がかかりますからね」(X博士)
X氏は冷ややかな見解を示す一方で、この技術は実際に、絶滅の危機に瀕した動物を救う手立てにもなり得るとも指摘する。
「マンモファントについて、“寒冷地にも住めるアジアゾウ”という見方も可能です。つまり、絶滅の危機に瀕しているアジアゾウに、新たな生息地を提供したという考え方もできるのです。生物種が絶滅する原因はさまざまですが、例えば病気や環境の変化が原因なら、適切なゲノムを与えることで絶滅を防げる可能性はあります」(X博士)
■ゲノム編集の本当のターゲットとは!?
人間の生きた痕跡や高い技術の証拠を動物たちのゲノムに残せるかもしれない、とX氏は皮肉げに付け加えた。だが、ゲノム編集のターゲットは動物たちだけではないようだ。
「当然ですが、一番の目標は人間です。おそらく今後10年以内に、ゲノム編集による病気の治療が始まり、病気の遺伝子を持つ受精卵の改変が問題になるはずです。その先には当然、よりよい形質を持った子どもの“デザイン”という課題が立ち現れるでしょう。大げさな話に聞こえるかもしれませんが、それら技術の基礎となりうるのが、今回のマンモスの復活計画です」(X博士)
事実、2015年には中国がヒト受精卵のゲノム編集に成功したと報告している。アメリカや日本でも、今年に入ってヒト受精卵への応用を一部容認するという動きが出てきている。我々はゲノム編集という強力なツールをどのように使っていくべきなのか。技術の進歩は待ったなしである。
(吉井いつき)
参考:「Telegraph」、「The Guardian」、ほか
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