西洋医学で発見された人体の新臓器「腸間膜」、東洋医学は前から知っていたことが判明!

■解剖学的認識が100年ぶりに改められる

 最初にこの事実を発見したJ・カルヴァン・コフィ教授は、次のように言っている。「解剖学的に100年以上も誤った認識でこの器官をとらえていた。この器官は断続的な存在として複雑な形態をしているわけではなく、連続した一つの構造を持つ臓器である」。

 現時点では、この腸間膜の詳しい働きなどは判明していないが、さらなる調査と研究によってその働きは解明されていくと思われ、このことにより腹部疾患の原因究明や治療を飛躍的に高める可能性もあるという。

 今さらながらの発見と言うべきなのか、人体の神秘の奥深さを知らしめる発見なのかは判断しかねるが、まだまだ未知なモノが人体にあったということはまさに驚きである。
(文=高夏五道)


■コフィー教授の“発見”は東洋医学の後追いだった

 さて、今回の発見についてトカナがさらなる独自調査を進めていたところ、驚くべき事実に突き当たった。なんと東洋医学の分野において、すでに腸間膜は「三焦」というれっきとした働きを持つ臓器として認識されていたというのだ。

 そこでトカナは、東洋医学やアーユルヴェーダに詳しいハタイクリニック(東京都目黒区)院長の西脇俊二先生に、腸間膜が他の臓器と連続した構造であるというコフィー教授らの発見について訊いてみた。

「内臓や臓器を包み込み、全身に行きわたる働きを持つ『三焦』は、形がないが機能があるスロータス、いわば経路のことを指します。アーユルヴェーダでいう風と火と水のエネルギーなど、さまざまなものが通るのが経路。コフィー教授らの発見に先立ち、すでにアーユルヴェーダや東洋医学では『三焦』の存在が知れわたっています」(西脇先生)

 西脇先生によると、アーユルヴェーダは5000年前、東洋医学は3~4000年前に完成しており、西洋医学はそれを後追いしているのだという。では、なぜ西洋医学の発達は両者に比べて遅れてしまったのだろう。

「アーユルヴェーダや東洋医学は、身体を一つの統合体として捉えています。一方、西洋医学は、パーツに分けてしまうのが特徴です。例えば、西洋医学では神経内科や精神科と、診療の分類を細かく分けていますね。ところが人体というのは、バラバラのパーツの寄せ集めではないのです。身体を統合体として捉えているアーユルヴェーダや東洋医学だからこそ、『三焦』の存在は早くから認識されていたのです」(西脇先生)


■「体全体を整える」東洋医学の有効性

 さらに西脇先生は、風邪の治療にも西洋医学よりも東洋医学の処方が役に立つことを説明する。

「西洋医学では、発熱したら解熱剤を、咳が出たら咳止めの薬を処方しますが、漢方では『体全体を整える』という考え方から、風邪の初期には葛根湯の働きでいったん熱を上げて、免疫力を高める治療を施します。発熱したら今度は別の漢方薬、咳や痰が残ったら別の漢方薬……と、風邪のステージによって漢方の処方を変えることで治療するのです」

 ちなみに、現在全国で猛威を振るっているインフルエンザに対しても、「体全体を整える」という観点から、西脇先生はまず湿度管理をしっかり行うことが重要だと説く。

「湿度を50%前後にキープすることが望ましいです。30%以下なら、風邪の罹患率も上がりますね」

 そして西脇先生は、コフィー教授らの発見について「世界を驚かすニュースではない」と言い切った。今回のケースは、人体に「ひとつとして無駄な物はない」という東洋医学の見地から、東洋医学に軍配が上がった事例といえるだろう。
(後半取材/文=夏目かをる)

協力:
統合医療クリニック「ハタイクリニック」(祐天寺)
西脇俊二院長/著書に「ガン、高血糖、脂肪が消えていく! –絶糖生活のはじめ方」(2016年1月)など多数


参考:「Daily Mail」、「Live Science」、ほか

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