ドクメンタ開催時期にフランクフルトで『縄文族 JOMON TRIBE』展Taku Oshima & Ryoichi Keroppy Maeda “JOMON TRIBE in Frankfurt” @HfG Offenbach
■今年は、10年に1度の現代美術スペシャルイヤー
今年6月、オキュパイ・スクールのレギュラー講師陣によるヨーロッパ遠征合宿を決行した。2017年は、5年に一度のドクメンタ、2年に一度のヴェネチア・ビエンナーレが同時期開催される10年に一度のスペシャルイヤー。そんなタイミングで、ドイツ・フランクフルトで大島托&ケロッピー前田の『縄文族 JOMON TRIBE』展、カッセルでのサテライト『縄文族』展示&オキュパイ・スクール『一万年前/一万年後』を開催した。
「ドクメンタ14」レポート(前編)に続き、伝説の雑誌『BURST』などで世界のカウンターカルチャーを発信してきた私ケロッピー前田が、ここに自身の展示報告も含めてレポートする。
ドクメンタの地下鉄駅廃墟の展示会場 [Kulturbahnhof]
膨大な数のトナカイの頭骨をカーテン状に吊るした Máret Ánne Sara《Pile o’ Sápmi》
作品の資料となった先住民サーミ族の抗議行動の様子 Máret Ánne Sara《Pile o’ Sápmi》
カッセル市内30数ヶ所に及ぶドクメンタ展示会場の中には、会場自体が特徴的なところも多い。例えば、地下鉄駅廃墟「クルトゥーアバーンホーフ」や郵便局跡地「ノイエ・ノイエ・ガレリエ」にドクメンタらしさを感じてやまない。どこまで作品なのか、作品そのものが廃墟に馴染んでしまって境界線がわからなくなってしまうところが鑑賞者を試してくる。膨大な数のトナカイの頭骨をカーテン状に吊るすマレット・アンネ・サラの作品は、北欧の先住民サーミ族がノルウェー政府にトナカイ飼いの頭数を制限されたことに抗議するため、膨大な頭骨を積み上げた事件を参照し、トナカイ飼いの是非を巡る裁判の記録などと共に展示している。そこで際立つのは、実際の事件を切り取るドキュメンタリスト的な鋭い眼差しなのである。