日本人が知らないイスラーム世界の「性事情」! エジプトは痴漢大国、一夫多妻制に“意外な条件”も(東洋文化研究所・後藤絵美インタビュー)

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■イスラームにおける女性の権利、一夫多妻制には“ある条件”が存在した

日本人が知らないイスラーム世界の「性事情」! エジプトは痴漢大国、一夫多妻制に意外な条件も(東洋文化研究所・後藤絵美インタビュー)の画像3撮影・松本祐貴

――イスラーム圏での女性の権利についても聞いてみたいと思います。サウジアラビアでは女性の参政権が認められたのがつい最近の2015年ですが、現在イスラームにおける女性の権利はどのようになっていますか? 

後藤 女性の権利は非常に難しい問題ですね。ムスリムの中で古典イスラーム法を尊重する人たちがいるんです。これは、前近代に確立したもので、女性の権利に関しては今と違うわけです。最近、近代化・西洋化の過程で、国家法として、古典イスラーム法とは別に女性の権利を認めていこうという流れがあります。ですが、古典法的なものが残っている地域もあるんです。例えば、古典イスラーム法では、女性側から離婚するのがほぼ不可能です。

――しかも、男性側からは「タラーク(離婚)」と3度言えば離婚できるらしいですね。今の日本から見るとひどい話です。

後藤 エジプトではごく最近、2000年に法律ができて、「女性がすべての権利を放棄すれば、離婚できる」となりました。その後、熟年離婚をテーマにした映画も作られたり話題になったのですが、“慰謝料も養育費も諦めるなら女性は出ていける”という女性に圧倒的に不利な条件はそのまま。まだ、そういうレベルなのです。

 相続も女性は男性の半分の権利とされています。それはコーランに書いてあるんで動かしようがないと言われているんですが、それを最近のチュジニアで平等にしようという運動もあります。

――将来は平等に近づくのが世の流れかもしれませんね。

後藤 イスラームは女性を抑圧するという批判の声ばかりではなく、本来のイスラームは女性を守るためのものだったという声もあります。男性が4人まで妻を持てるというのも、文の前半が見過ごされて浸透しているんです。コーランには「孤児に公正にできないことを恐れるのなら、女性であなたたちに良い者を2人、3人、4人娶れ」とあります。

――孤児ということは、戦争や病気などで連れ合いを亡くした未亡人の救済措置という社会保障のような面もあったわけですね。

後藤 そうですね。また、本の中にも引用しましたが、コーランには以下のようなものもあります。

「人びとよ、わたしはあなたたちを男性と女性から創り、種族や部族となした。あなたたちが互いに知り合うためである。ほんとうにアッラーの御許(みもと)でもっとも高貴なものはもっとも敬虔なものである」(49章(部屋章)13節)

 これだと神の前で男女は同等ですね。本当に読み方次第なんです。

 日本でも女性の権利が向上したのはここ数十年ですよね。しかも、かなり変化した。イスラームの世界もジェンダーや女性という目で見ると今の変化がとくによく見えてくると思うんです。


■イスラーム世界の恋愛事情

日本人が知らないイスラーム世界の「性事情」! エジプトは痴漢大国、一夫多妻制に意外な条件も(東洋文化研究所・後藤絵美インタビュー)の画像4撮影・松本祐貴

――ここで少し柔らかい話もよろしいでしょうか……イスラームの恋愛事情はどうなっているのでしょうか?

後藤 国や地域によって違いますが、サウジアラビアやアフガニスタン、イランの地方では全く顔を見ないお見合いがありますね。顔を見せている国だと、両親と一緒に食事をするような普通のお見合いもあります。もちろん路上で知り合うみたいなこともありますよ。意外なことに結婚紹介所もあるんです。紹介所に行くと、女性はみんな顔を覆う黒のニカーブを着けている。なぜならそんなところに来ていると思われたくないからです。産婦人科の不妊外来と結婚紹介所にはニカーブの人が多いらしいですね。

――お見合い以外では?

後藤 学校で出会ったり、友達に紹介されてという方が普通ですね。日本とあまり変わらないです。

イスラーム世界のオカルト事情を語ってもらったインタビュー第3回はコチラ


◆後藤絵美(ごとう・えみ)
東京大学日本・アジアに関する教育研究ネットワーク特任准教授、東洋文化研究所准教授(兼務)。専門は西アジア・中東地域研究、イスラーム文化・思想、服飾文化史。東京大学総合文化研究科博士課程修了。学術博士。2003年から5年に平和中島財団奨学生としてエジプトに留学、カイロ・アメリカン大学女性・ジェンダー研究所に研究員として在籍。2015年から現職。著書『神のためにまとうヴェール―現代エジプトの女性とイスラーム』(中央公論新社)『イスラームのおしえ』(かもがわ出版)など多数。


◆松本祐貴(まつもと・ゆうき)
1977年、大阪府生まれ。編集者・ライター・世界のマイナー酒・居酒屋研究家。大学在学中からライターをはじめ、その後、雑誌記者、出版社勤務を経てフリーで活動する。テーマは旅、酒、サブカル、趣味系など多数。著書『泥酔夫婦 世界一周』(オークラ出版)が発売中。・ブログ~世界一周~旅の柄:http://tabinogara.blogspot.jp/

文・取材=松本祐貴

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