ナチス時代のドイツで暮らした黒人はどんな扱いを受けた!? 人体実験、“殺菌”処分、人間動物園… 闇に葬られた5つの事実
ナチス期のドイツといえば、ユダヤ人への迫害のイメージが強いかもしれない。しかし、当時のドイツでは、ユダヤ人より人口が少なかったアフリカ系黒人にも迫害・虐殺が行われている。今回は、ナチスがアフリカ系の人々に行った無慈悲な真実を5つ紹介しよう。
■ラインラントの悪魔
第一次世界大戦後の1919年に結ばれたベルサイユ条約で、連合軍はドイツの西部・ラインラントへ陸軍を駐在させることに。その軍に所属する者の多くは、フランスの植民地から送られたアフリカ系の人々であった。軍人たちは、駐在しているラインラントのドイツ人女性との間に子どもを授かる者も多く、生まれてきた子どもたちはドイツ人にとって初の“多人種”となる。しかし、これを良く思わないドイツ人たちは、子どもを“ラインラントの悪魔”と呼び、出産した女性たちは黒人によって強姦された被害者だと主張。アドルフ・ヒトラーは「ユダヤ人が黒人をドイツに連れてきて、アーリア人の純血を汚そうとしていた」と非難している。
■殺人と殺菌
ウォルフガング・アベルという人類学者は、アフリカ系およびアジア系ドイツ人を研究した人物だ。アベルは、研究の結果を「アフロ・アジア系のドイツ人の子どもは、アーリア人の子どもよりも精神的にも遺伝的にも劣ってる」と主張。また、子どもを産んだドイツ人の母親を「腐ったエイリアンの入れ物」だと非難している。1937年に、ゲシュタポ(ナチスドイツ期の秘密警察)がドイツにいる黒人を集めるよう命じ、収容された多くの黒人は“殺菌”という名目で殺害されるか、人体実験に使われたという。最終的に「ラインラントの悪魔をすべて殺菌せよ」という命令で、400人を超える子どもが殺害されてしまった。
■生き残った皇太子
ハンス・マサコイという男性は、ナチス時代のドイツを生き延びた数少ないアフリカ系の1人。というのも彼は普通の人ではなく、リベリア・ヴァイ族の皇太子である父とドイツ人の看護師の母との間に生まれた、王族の息子だったから。しかし、王族の子どもといえど、少年時代は肌の色でいじめられてしまう。その後ハンスは大人になったものの、失業率が高かった当時のドイツでアフリカ系のハンスは仕事すら与えてもらえなかった。迫害されるハンスを見かねた父は、息子をリベリアに呼び寄せて迫害から逃れさせることに。その後ハンスは結婚。アメリカへ移住し子どもも生まれ、幸せに暮らしていたという。
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