52歳ヘヴィメタル界の超問題児・屍忌蛇の“爆裂”インタビュー! 4歳で飲酒、歌舞伎町で暴動、ギターがなければただのクズ!?
――ここまで続けてこられた秘訣は?
屍忌蛇 根性かな。みんな、やめちゃうでしょ。これじゃ食っていけないと。でもね、ミュージシャンって、自分がどんなにつらくても、第三者に勇気を与えないとダメなのよ。音質やテクニックうんぬんじゃなく、勇気を与える音じゃないとダメ。一般のサラリーマンの方も、みんなそれぞれ人に言えない悩みを抱えてるだろうけど、僕は彼らにこう言いたいね。「大丈夫だよ、気にすんなよ。空はいつまでも曇ってないぜ」と。僕はそう信じて生きてきたし、そういう音楽を作ってきたつもり。酔っ払って人に迷惑をかけた時は「俺って最低だな。こんな世界にいるからダメなんだ。俺がちゃんとしたサラリーマンだったらこんなトラブルもなかったのに」と思うけど、24時間後には忘れてる(笑)。だって、いろんなことがあるから人生じゃないですか。悪いことがあれば、いいこともある。僕が誰かと揉めたり、なんやかんやあって死んだとしても別にいいの。みんなを幸せにできればね。
――屍忌蛇さん、今はシラフですよね?
屍忌蛇 うん。今日はね、VOLCANOの新譜『DARKER THAN BLACK』が出たばかりだから、CDショップの販促イベントに行ったり、このほかにも取材を受けたりと、仕事の1日だったんですよ。そういう日は飲みません。ちなみに酔っ払ってステージに立ったこともないよ。だって、お客さんから何千円も取るわけでしょ。モトリー・クルーじゃないけど、酔ってまともに演奏できないってのはダメ。アイドルは一生懸命でしょ。あれを見習わないと。
――シラフだと、まともなことを言うんですね。
屍忌蛇 普段はダメ人間だけど、こういう時はちゃんとしてるでしょ?(笑) すいませーん、コーラおかわり!
――ところで、屍忌蛇さんといえば、「今からやぞ!」というキャッチフレーズが有名ですが、あれはどういう経緯で生まれた言葉なのでしょう?
屍忌蛇 Twitterで悪口を書いてたら、「屍忌蛇劇場の始まりだ」みたいな感じでファンがざわつき始めたんです。ところが僕も人間だから、書いてる途中で1時間ほどうたた寝しちゃって(笑)。それを誤魔化すために「寝てたと思っただろ。今からやぞ!」と書いたのが始まりですね。全然深い意味はない。それを無理やりこじつけて、人生つらいことがあっても今から頑張ればいいじゃないか的に使ってたら、いい言葉として定着しただけです。
――酔って暴力沙汰を起こしたことは?
屍忌蛇 昔は喧嘩っ早かったから、いろいろあったけど、済んだことだから話したくない。また蒸し返すのもあれだから。言える範囲の昔話を言うと、歌舞伎町の養老乃瀧で当時付き合ってた彼女と飲んでたら、サラリーマンが「おい、そこの金髪!」って絡んできたのね。でもその日は彼女の誕生日だったから、騒ぎを起こしたくなくて無視してたの。そしたらそのサラリーマンが「てめえ」つって僕の髪の毛を引っ張って、「この金髪はなんだと聞いてるだろ!」と。そこで僕がどうしたのかというと、サラリーマンのネクタイをギューッと引っ張って締め上げて、そいつの耳元で「てめえのネクタイと一緒じゃ!」と叫んでやった。「どういう意味だ」と聞いてきたから、「ロックの正装じゃ、アホンダラこら!」と。彼女もサラリーマンも感動してましたよ。
――格好いい話じゃないですか。
屍忌蛇 二十代の頃の話ですよ。最近はSNSで暴言を吐くことはあっても、酒場で暴れるようなことはまずないですね。
――実は僕、去年この店で、初対面の屍忌蛇さんに絡まれ、首を絞められたことがあるのですが(笑)。
屍忌蛇 えっ? ホンマに?(目を丸くして) すまん、全然覚えない。それは大変申し訳なかった!
――お酒、弱いんですか?
屍忌蛇 強いか弱いかで言ったら、強い。どんなに飲んでも酒場で寝たりはしないから。飲めば飲むほど覚醒して、ギラギラしてくる。24時間を超えてても「よし、出かけるぞ!」となって、限界まで飲む。ウイスキーのストレートを48時間ぶっ通しで飲み続けられる人間は、たぶん僕しかいないんじゃないかな。水割り込みなら1週間ノンストップで飲み続けたこともあるけど、その時は8〜9キロ痩せたね。その間、ほぼ何も食べなかったから。でも僕、別に酒が好きなわけじゃないんですよ。あくまで現実逃避の手段。酒が自分をダメにしてる、ってことはわかってるんだけど……。
――健康診断に行ったことはありますか?
屍忌蛇 ない。動物って健康診断に行かないでしょ。それと一緒。たとえば、がんになったとしたら、そういう運命だったんですよ。現状、特に不調もないし、生まれてこのかた風邪をひいたこともないし……って誰かに言ったら、「風邪のつらさを二日酔いのつらさが上回ってるから気付かないだけよ」と言われたけど(笑)。
――普段の生活のリズムを教えてください。
屍忌蛇 朝方までこういう店を何軒もハシゴして飲んで、家帰っても飲んで、よし今日は夜まで寝ようと思っても、安兵衛(飼い犬)に起こされて散歩に行くと、もう寝れなくなる。しょうがないから「よし、飲みに行くか」っていう繰り返し。ほかのミュージシャンは違うと思うけど、僕の生活は百姓に似てて。ここ数年は年イチでアルバムを出してるんだけど、今は収穫と出荷が終わって、やることがなくなって、去年の蓄えで生きてる状態。そういう生活のリズムが、なんか百姓に似てるなぁと思う。ちなみに今年の作物の『DARKER THAN BLACK』は美味しいですよ(笑)。
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実際、新譜は最高の出来だ。ギターソロはすべてアドリブ。叙情的かつ攻撃的なメロディが、聴き手の魂を時に癒し、時に鼓舞する。「ギターがなければただのクズ」と評されることもある屍忌蛇だが、「ギターがあればただの天才」であることを雄弁に物語る名盤だ。古くからのファンはもちろんのこと、屍忌蛇を初めて知った読者にも是非聴いてもらいたいものである。
さて、次回お届けするインタビュー中編では、とうとうアルコールに手を伸ばした屍忌蛇が「下半身の武勇伝」を語り尽くす!
・<インタビューまとめはコチラ>
(プロフィール)
屍忌蛇(しいじゃ)
1966年生まれ、高知県安芸郡出身。Gargoyleでメジャーデビュー。脱退後、1997年にアニメタルに参加。アニメタル活動休止中の2000年にVOLCANOを結成した。バンド活動と並行して、テレビアニメ「けいおん!」などにもギターで参加。今年7月にVOLCANOの 7thアルバム『DARKER THAN BLACK』を発表。屍忌蛇という芸名は、本名の「靖」をひっくり返した「しすや」を英語風の読みにしてから、不吉な当て字をしたものだとか。
屍忌蛇-VOLCANO-オフィシャルサイト
http://4148.jp/contact.html
屍忌蛇 フェイスブック
屍忌蛇安兵衛(Facebook)
ライブ情報
・8/18(土) 「栄TIGHT ROPE」 open/start 18:30/19:00 adv/door ¥3,500/¥4,000 チケットはコチラ
・8月19日(日)「西心斎橋Bigtwin diner SHOVEL」DARKER THAN BLACK tour 大阪編 OPEN 17:30 / STAT 18:00 adv 3500yen / door 4000yen(別途500yen)
チケットはコチラ
■取材協力店
Pepe Trick
新宿歌舞伎町にあるロックバー。経営者は、ライブハウス「目黒鹿鳴館」の代表でもある山口高明氏(通称ペペさん)。海外の有名アーティストや、屍忌蛇もときどき来店する。
東京都新宿区歌舞伎町1-2-7 星座館7F
TEL:03-6205-6609
Pepe Trick(Facebook)
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2024.10.02 20:00心霊52歳ヘヴィメタル界の超問題児・屍忌蛇の“爆裂”インタビュー! 4歳で飲酒、歌舞伎町で暴動、ギターがなければただのクズ!?のページです。岡林敬太、屍忌蛇、ヘヴィメタル、VOLCANOなどの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで