米国は60年前から「シリア破壊計画」を実行していた! MI6とCIA、民衆扇動、工作資金… 流出文書で判明した謀略全貌!
ISは弱体化したものの今なお解決の糸口がつかめないシリア情勢だが、アメリカは数十年も前からシリア政府の“破壊活動”を計画、実施してきたことが最近明るみに出た文書から判明している。
■“選挙モニタリング”により民衆主導の反政府運動を画策
2006年12月に米『TIME』誌は、当時のブッシュ政権の要人たちの間で、ある2ページの文書が流失していることを報じている。この文書にはアメリカが「シリア国内と周辺の(反政府)活動家との定期的な会合をヨーロッパで行い支援する」と公然と述べられている。
また、『TIME』によれば同文書は2007年3月に行われる予定のシリアの議会選挙が、「アサド体制を批判する人々を刺激する問題を提供している」と述べている。そしてシリア内の活動家と近隣諸国の活動家に向けたインターネットでアクセス可能な資料の印刷と配布が可能な「選挙モニタリング」計画を提案し、このチャンスを活用することを望む旨が記されているという。
2007年の選挙ではバッシャール・アサドが再任することになり、このアメリカの望みはかなわなかったことになるが、あの2010年の「アラブの春」とそれに続く2011年の「シリア騒乱」の数年前から、こうした民衆主導の反政府運動が画策されていたことになる。
この文書はまた、アサド大統領に対抗して選挙に出馬しようとしている少なくとも1人のシリアの政治家に資金を提供することを提唱している。さらに2007年初めに予定されていた「投票者教育キャンペーン」と「世論調査」の実施とそのための資金提供を要求している。
文書ではこの提案に関係しているアメリカ政府の高官の一人が「我々は今、シリア政府を不安定化しようとしているのかどうか、誰もが考えざるを得ないことです」と発言している。
支援している“活動家”とは具体的にはシリア国民救済戦線(NSF)とムスリム同胞団をはじめとするイスラム過激派で、2006年の時点ですでに数十年にわたりこれらの組織をサポートしてきたという。そして今後は、より民主的な方法でシリア政府の転覆をもくろむことが提案されたことになる。その手始めが選挙モニタリングなのだ。
同文書によれば選挙モニタリング案の資金は、国務省のプログラムである中東パートナーシップ・イニシアチブ(MEPI)のチャネルを通じて供給されるという。
MEPIは、中東周辺のグループに毎年何百万ドルもの資金を投入して改革推進を図っている。たいていは国際共和研究所(IRI)などのチャネルを介して資金が供給されているが、IRIのウェブサイトではシリアについての言及はなく、これはシリアの選挙モニタリングが極秘事項であることを示唆するものになる。
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