60年で2000の飛行機が消えた魔の空域「ネバダ・トライアングル」とは!? どんなベテランパイロットでも操縦不能に陥るミステリー
■“山岳波”による乱気流が原因か
ネバダ・トライアングルの一帯には疑惑の宝庫と呼ばれる“エリア51”もあり、フォセット氏の死亡事故はさまざまな臆測を呼んでいる。しかもこの一帯では確認されていない機体や遺体もまだまだたくさんありそうなのだ。
謎を深めるネバダ・トライアングルなのだが、ネバダ州の上空を1974年から飛行しているベテランパイロットのジョン・ケリー氏によれば、この地帯の気流の流れは独特であるという。
「多くの墜落事故がこの山で起きていると思われますが、それは大気のせいです。私は怪奇現象だとは考えていません。山を越えて飛行する人々は気圧の影響について誤った判断をしています」とケリー氏はニュースメディア「9news.com.au」に話している。
シエラネバダ山脈の山肌には太平洋から吹きつける突風が当たり、そのまま傾斜を駆け上って山を越えた際に山岳波(mountain wave)と呼ばれる重力波が発生するという。山岳波はまるでジェットコースターのように小型機を振り回し、そして墜落させる力を秘めているのだ。
フォセット氏が乗っていたベランカ・シタブリア・スーパーデカスロン(Bellanca Citabria Super Decathlon)という単発機は最高速度が時速480キロであったが、山越えの山岳波によって発生する下降気流は時速640キロにも及ぶという。この凄まじい下降気流に飲み込まれてしまえば、どんなベテランパイロットでも操縦不能に陥るのである。
ネバダ州の研究財団「Desert Research Institut」の気候学者であるケリー・レドモンド氏はシエラネバダ山脈の風は“ナイアガラの滝”のようなものであると説明している。
「風が西側の傾斜を上がってくる時は滑らかに吹き上がってきます。そして山を越えると風は急激に下降し、凄まじい乱気流を発生させてこの事故のような状況を引き起こします」(ケリー・レドモンド氏)
この乱気流から脱出できるパワーのない小型プロペラ機などは、いとも簡単に山肌に叩きつけられてしまうのである。この“山岳波説”はネバダ・トライアングルの謎をかなりの程度説明できるのかもしれないが、何かと疑惑が多い一帯であるだけに今後も注目していきたい。
参考:「Express」、「The Sun」、「news.com.au」、ほか
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