「60歳でも売春する」今も歌舞伎町に立つ40代違法売春女性 ー 悲しい生い立ち【インタビュー】

――何故このような業界に入ったのか?
「若い時に結婚して、旦那のDVなどがあり、家出をしました。その頃はDV被害などマスコミの人も取り上げてくれずに、嫁は我慢するものだと教え込まれ信じていました。離婚届を置いて家を出たんですが、実家にも帰れずにフラフラと新宿の歌舞伎町に辿り着いてしまった感じです」

――その日から今のような商売に?
「違います、ヤクザの人にナンパされてそれからですね」

「60歳でも売春する」今も歌舞伎町に立つ40代違法売春女性 ー 悲しい生い立ち【インタビュー】の画像3
画像は「getty images」より引用

――そのヤクザにお金を払っているのか?
「その人は殺されてしまいました。それからは違う人が私の面倒を見てくれています」

――今更普通の仕事には付けないですよね……。
「住民票もどこにあるか分からないですから」

 行政は、その場所に本人が住んでいないと判断した場合、職権で削除をしてしまうケースが多々ある。これは住民基本台帳法34条に則り、法で定められているのだ。

 例えば洋子さんの場合は、離婚した元旦那が、洋子さんに送られた郵便物を受け取らず、離婚届を提出して転居先を不明にし、税金などを滞納しているケースであろう。

 この様な場合はまともな社会復帰は難しい。

 大きな理由の一つとして年金も保険も未納もしくは未加入だからだ。

――当然税金も国保も未加入ですよね?
「入ってないです。調子が悪くなれば1万円を払えば診察してくれるクリニックが歌舞伎町にはいくつもありますし、薬も院内処方で出してくれますから」

――入院するような大きな病気に掛かったらそれでは済まないですよね?
「一度倒れて病院に救急車で運ばれたことがありますけど、動けるようになったら勝手に退院してしまいました」

――いつまでこの生活を続けるのか?
「10年もすれば歌舞伎町ではお客さんが付かなくなると思うので場所は変えようと思っています。60才でも現役のお姉さんが立っている街があるので、そこに移って動けなくなるまで続けると思います」

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画像は「getty images」より引用

――後悔は?
「結婚ですかね。それが悪夢の始まりでした。あの結婚さえしなければ私は今頃専業主婦になっていただろうと思うことはあります」

 洋子さんと街頭で話をしている時に、多くの通行人が横を通り過ぎた。

 それらの人々は誰も関心を持たず見ようとはしない。

 これが地方であったら、物珍しさでのぞき込む人もいるであろう。

 それは洋子さんの恰好が派手というか奇抜だからだ。

 都会の人は他人には無関心である。

 強く感じた街頭インタビューであった。

 

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文=恙名嘉也

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