縄文ブームの“本当の理由”がイノシシ解体でわかった! 15000年前を生きた先祖とシンクロする唯一の方法とは!?(レポート)
■縄文はロマン
イノシシ肉を焼き、貝を食べ…… と、もはや気分は縄文人である。
縄文文化の何がそれほど魅力なのか? 話を聞いているうちに、だんだんわかってきた気がする。縄文時代は文字がないため、遺跡からしか当時の様子はわからない。そこに住んでいた人たちが何を考え、何を感じていたのか、一切記録はないのだ。だから、縄文人の思考を理解するには、当時の生活を再現して体験し、縄文人の感覚を共有するしか方法がない。有名な縄文土器に火焔(かえん)型土器があるが、あの独特の意匠がどのようにして生まれたのか、何を意味するのか、理解するには自分で土器を焼くしかないわけだ。追体験によって1万5000年前の先祖を知る、これはたしかにロマンだ。
「縄文ドキドキ会」代表の小林亨(とおる)さんが縄文にハマったのは、10年ほど前のことだ。
「もともとアフリカのお面が好きだったんですが、青森の博物館で縄文時代の土のお面を見て、これを作ってみようと思ったんですね。母親が買ったままで使っていない陶芸窯があったので、作り出したら考古学に詳しい人や縄文文化が好きな人と知り合うようになって、集まるようになったんです」
縄文の魅力って何だと思われますか?
「なんだかわからないんですよね、縄文って。なんだかわからないものって不安であり、恐怖を感じるわけですよ。だからオカルト好きな人に近いんじゃないかな。なんだかわからなくて怖いから、なんだろうって知りたくなっちゃう」
縄文土器も作っている小林さん。縄文人の考え方や感じ方は多少ともわかるようになったのだろうか?
「作ってみても、しょせん他人ですからね。わからないってことだけわかりました。自分はわかったみたいなことを言う人もいるんですが、それはちょっとおこがましいかなと。自分なりの縄文への好意を表現することしかできない、という感じですかね」
縄文土器を作ったり、石器を作るワークショップを開くなど縄文のファンダムとして、縄文文化ブームを下支えしている「縄文ドキドキ会」。北海道・北東北の縄文遺跡群が世界遺産登録を目指している今、1万5000年前の祖先のことを知り、私たちが何者なのかを知る手掛かりとしたい。
・ 縄文ドキドキ会
https://jomondoki.com/
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