安倍晋三よ、この映画を観よ、そして恥じよ! 学生たちの“胸アツ”すぎる政治討論会を映画化『三島由紀夫vs東大全共闘』監督インタビュー
東大のバリケードが解除されると、2月には京都大学、東京水産大学、京都府立医大、3月には山形大学、富山大学、関西学院大学、4月には沖縄大学、岡山大学、島根大学と続き、全共闘によるバリケード封鎖は165校に達した。用いる武器も角材は鉄パイプに持ち替えられ、火炎瓶にボール爆弾が加わるなどより過激なものになった。しかし機動隊によって次々とバリケードは撤去され、占拠していた学生たちは逮捕された。
芥は討論で「再びブランキストであり、しかもトロッキストである連中というのが出てくる」と言っている。全共闘運動は雲散霧消し、新左翼はセクトの運動に戻った。ブントからは赤軍が生まれ、ハイジャックで北朝鮮に行く者たち、パレスチナに行ってテロを行う者たち、国内での銃撃戦を目指して群馬県の山中で同志殺しを行う者たちが現れた。革マル、中核、解放は命を奪い合う内ゲバに突入。全共闘運動の中から生まれたノンセクトラジカルのグループは、三菱重工や鹿島建設、帝人、大成建設、間組などの建物を爆破するテロを行うようになった。
筆者はそうした時代を経た1970年代後半に、成田空港反対闘争に加わることで、新左翼運動に参加した。これからでも、内ゲバともテロとも無縁な、体制と真っ正面からぶつかる運動はできるはずだと、18歳だった自分は信じたのだ。だがそれを10年以上も続けて実感したのは、正義の実現のために暴力を用いるという思考は、人の心を無残に歪めてしまうということだった。
豊島監督「全共闘の敗北という問いを、木村修さんにもぶつけたんですけど、それぞれの思いがこもった返答を頂きました」
豊島監督はこの映画の制作でできた縁で、全共闘だった人々の集まりにも参加するようになったという。
豊島監督「高校全共闘の集まりで、都立北高校でバリケード封鎖して捕まって、練馬鑑別所に入ったという方と会いました。鑑別所を出てから、中卒の学歴で郵便局に勤めたんですけど、郵便配達をしながら労働運動で闘ってクビになったんです。その後、解雇の不当性を訴えてずっと法廷で闘争してきて、2007年になってやっと裁判に勝って、郵便局に戻ったんです。定年を迎えて、何したかっていうと、今度は福島に行って除染作業をしたんですって。ここに本物がいる、これが闘士だよ、と思いました。東大全共闘の場合は、芥さんのように石畳のあるマンションで前衛演劇を続けている人もいれば、いわゆる普通の生活を送っている人もいる。様々です」
東京大学教養学部出身である豊島監督は、900番教室で学んだこともある。
< 豊島監督「900番教室は凄く大きな教室で、法学部でマスプロ授業みたいなのを受ける場所。僕はオリエンテーションを受けるのに入ったことがあります。その時は、三島と全共闘が対決した場所だとは知りませんでした。90年代に、小林康夫っていうフランス文学の先生が、女装する芸術家、森村泰昌さんを呼んで彼がマリリンモンローの格好をして、ジェンダーや象徴の話をしたことがありました。そのイベントのタイトルにM×Mってあって、それはモンロー×三島だっていうことで、三島がここで討論したことにかけてるんだなって分かりました」
この映画を見てほしい政治家がいるとしたら、誰だろうか。
豊島監督「首相ですね。安倍晋三は質問に答えないじゃないですか。三島はこんなに丁寧に人の話を聞いて、一所懸命答えているでしょ。芥さんが解放区のことを演劇的な言葉で語り出したのに、三島がまともに政治的な言葉で返したり、それが向かい合って体温の伝わる距離で話されていくうちに、すれ違いにならずに対話になっていくわけです。そういうまともな討論を見た後に、国会審議とかを見るとがっかりする時がありますね。だけどそれは自分にも返ってくる課題で、たとえば天皇なり憲法を自分の頭でしっかり考えて、人と対話できるのかという問いにもなってくると思います」
筆者は、映画を通じて三島から励まされた気がした。見る者によって受け取るものは様々であろうが、現代人に必見の映画である。
監督:豊島圭介
音楽:遠藤浩二
ナレーター:東出昌大
出演:三島由紀夫、芥正彦、木村修、橋爪大三郎、篠原裕、宮澤章友、原昭弘、椎根和、清水寛、小川邦雄、平野啓一郎、内田樹、小熊英二、瀬戸内寂聴
配給:ギャガ
©2020映画「三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実」製作委員会
3月20日(金・祝)から全国公開
公式サイト:https://gaga.ne.jp/mishimatodai/
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2024.10.02 20:00心霊安倍晋三よ、この映画を観よ、そして恥じよ! 学生たちの“胸アツ”すぎる政治討論会を映画化『三島由紀夫vs東大全共闘』監督インタビューのページです。三島由紀夫、豊島圭介、東大全共闘などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで