ウィルクス 伝統を重んじて、それを守ることに関して西洋的なシニシズムがないところです。日常にも驚くべきことがあります。東京を歩いている時には、「こんなものがロンドンにあったら誰かに盗まれるか壊されてしまうだろうな」とよく思ったものです。女性が夜中に一人で公園をジョギングしているのを見たときも驚きましたね。
――今注目している日本人アーティストはいますか?
ウィルクス 今というわけではありませんが、篠山紀信や森山大道といった古い日本の写真家が好きです。あとは、90年代の日本映画と80年代の日本の水着写真も好きですね。
――なぜ日本の週刊誌を模した写真を撮っているのですか?
ウィルクス これはロックダウン中の暇つぶしとしてガールフレンドと行った企画です。彼女の母親は日本人で、彼女が持っていたゴシップ雑誌を見て、表紙が素晴らしいと思ったんです。実に混沌としていて高密度! ロックダウンで頭が狂いそうだという感じで、日記のようにたくさんの言葉を写真に入れるために、その表紙を真似してみたんです。
――週刊誌の文言は誰が考えましたか?
ウィルクス 私が考えて訳しました。時には日本語の分かる友達にチェックしてもらいましたが、意識の流れのように見せたかったので、意味が通らなくても別に良かったんです。