冷蔵庫から猫の首…軍艦島伝道師・黒沢永紀が「軍艦島と池島」を紹介! 遊廓・朝鮮人労働者の裏話や軍艦島のダンジョンも!

●冷蔵庫に猫の頭!<池島>

 池島炭鉱は、2001年に閉山した後、その施設を生かして、海外の技術者向けの研修センターとして稼働していた時期がある。「石炭技術海外移転五カ年計画」と名付けられた計画は、最先端の日本の炭鉱技術を、ベトナムとインドネシアの炭鉱技術者に伝えることを目的として、2002年から約5年間行われたものだった。

 その研修時代のある日。研修センターを運営する三井松島リソーシスの社員の家族が、ベトナムの研修生からホームパーティーに誘われた。和気あいあいと焼肉パーティーを楽しんでいたさなか、飲み物がなくなったので冷蔵庫にとりにいった社員の娘さんが扉を開けると、なんと冷蔵庫の中には、ラップにくるまれた2つの猫の頭が! もちろんパーティーで食べていた肉も猫の肉だったのだ。招待された三井松島の家族は、食欲が失せて、早急にその場を立ち去ったという。

 中国南部からベトナムのエリアでは、いまでも猫食文化があり、研修生は何の疑問も抱かず、島内の猫を捕獲しては食べていたのだろう。猫を食べる習慣のない日本人にとってはいささかつらい話だが、イルカやクジラを食べる日本人をヨーロッパ人が見ても、同じ感想を抱くのではないだろうか。

 かく言う日本でも、戦後まで犬は食べていた。赤犬と呼ばれる毛並みの赤い犬で、いまでも韓国から中国、そして東南アジアでは普通に食され、日本国内でも犬料理を供する店があるほど。現代では、猫と同様、犬を食べることもなかなか想像しがたいが、つい50年前にはあたりまえだったこと。食の感覚というのは意外に柔軟性があるのかもしれないと思わされる。

冷蔵庫から猫の首…軍艦島伝道師・黒沢永紀が「軍艦島と池島」を紹介! 遊廓・朝鮮人労働者の裏話や軍艦島のダンジョンも!の画像17ベトナム語とインドネシア語が併記された研修センター時代の看板がある光景
冷蔵庫から猫の首…軍艦島伝道師・黒沢永紀が「軍艦島と池島」を紹介! 遊廓・朝鮮人労働者の裏話や軍艦島のダンジョンも!の画像18記事内では触れてないが、隣の島に眠る扇風機の巨大ブレードがカッコイイ

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冷蔵庫から猫の首…軍艦島伝道師・黒沢永紀が「軍艦島と池島」を紹介! 遊廓・朝鮮人労働者の裏話や軍艦島のダンジョンも!の画像19『軍艦島 池島 長崎世界遺産の旅』(筑摩書房)

【書籍情報】
『軍艦島 池島 長崎世界遺産の旅』
文・構成:黒沢永紀/写真:酒井透、黒沢永紀
筑摩書房/B5版/160ページ/オールカラー
6月28日発売!

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文・写真=黒沢永紀

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