長崎・潜伏キリシタン関連遺産に衝撃的事実! 隠れキリシタンの末裔も驚いた“聖マリア像”とは?

 2018年、”軍艦島”に代表される「明治日本の産業革命遺産 製鉄・鉄鋼、造船、石炭産業」に次いで、長崎県と熊本県の12の構成資産から成る「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」が世界文化遺産に登録された。なかでも観光客に人気の”野崎島の集落跡”は、数年前にある衝撃的な事実が発覚しており、当時TOCANAでは野崎島最大のミステリーとして報じている。2018年8月の記事を再掲する。

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※ こちらの記事は2018年8月28日の記事を再掲しています。

長崎・潜伏キリシタン関連遺産に衝撃的事実! 隠れキリシタンの末裔も驚いた聖マリア像とは?の画像1
構成遺産に選ばれた大浦天主堂 画像は「長崎県ホームページ・長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」より引用

 2015年7月、軍艦島(長崎県長崎市端島)が「明治日本の産業革命遺産 製鉄・鉄鋼、造船、石炭産業」の構成資産のひとつとして、ユネスコ(国連教育科学文化機関)の世界文化遺産に登録されると、長崎市には大勢の観光客がやって来るようになった。今やユネスコの世界文化遺産登録は、観光客誘致の鍵となっているが、今年6月末には「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」(長崎県、熊本県の12資産)が世界文化遺産に登録された。

「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」というのは、長崎地方の潜伏キリシタンが、その禁教期に密かに信仰を続けるなかで育んだ、宗教に関する文化的な伝統を物語るものだ。これは、12の構成資産によって成り立っており、そこには、大浦天主堂(長崎市)や外海の出津集落(同)、大野集落(同)などが含まれている。

 ユネスコは、毎年、各国から提出される世界遺産登録推薦書を諮問機関のひとつであるイコモス(国際記念物遺跡会議)に送っている。イコモスは、それを受けて実際に現地に赴き、厳格な調査を行うなどして、ユネスコに答申をしている。イコモスは、文化遺産保護に関わる国際的な非政府組織(NGO)であることから、世界の歴史的な記念物(あるいは、歴史的建造物)及び、遺跡の保存に携わっている。今回の登録に向けては、イコモスがアドバイザーとしての役割も果たしている。

長崎・潜伏キリシタン関連遺産に衝撃的事実! 隠れキリシタンの末裔も驚いた聖マリア像とは?の画像2
旧野首教会

 この「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」のなかでも観光客や離島マニアなどに人気のあるのが、「野崎島の集落跡」(北松浦郡小値賀町)だ。登録された内容を見ると同島全体がその対象となっているが、この名称で登録された。

 五島列島の北部に浮かぶ野崎島は、佐世保市から航路で90キロメートルの西海上に位置し、野首集落跡には、旧・野首教会があり、キリスト教徒の墓跡なども残されている。

 観光資源としての魅力は十分で、風光明媚なところとなっている。島内には、廃校になった小中学校を改装して整備した宿泊施設もあることから、数日間滞在することも可能だ。現在、島内で暮らしている人はいないが、この施設を管理している団体の職員1名が同島に住民登録をしている。

 このような野崎島だが、数年前に衝撃的な事実が明らかになっている。キリスト教徒が住んでいなかった野崎集落で聖マリア像が“発見”されたのだ。

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野崎の聖マリア像

 かつて野崎島には、野首、船森、野崎という3つの集落があった。遠い昔に潜伏キリシタンの人々がこの島にやって来ると、野首集落と船森集落で生活を始めた。それ以降、キリスト教徒の人たちが住んでいたのは、この2つの集落だった。野崎集落に住んでいたのは、神道を信仰する人たちだけとなっていた。潜伏キリシタンの末裔であり、野首集落で暮らしていたことのある長老に話を聞くことができた。

長崎・潜伏キリシタン関連遺産に衝撃的事実! 隠れキリシタンの末裔も驚いた聖マリア像とは?の画像4
野崎の聖マリア像

「それは本当に驚きましたとですよ。野崎(集落)には、神道を信仰する人たちしか住んでいなかったとですよ。この写真がそうとですか……。たしかにマリアさまですたい。我々は、隠れキリシタンの末裔ですけど、身分を隠しおって、そがんば人がおったとですかね? みんな島民は仲良く行き来をしておったとですし、食料の物々交換などもやっとったとですよ。顔も良く知っておるとです。これはもしかすると、嫁に来た人が隠れキリシタンの末裔で、(野崎)集落の誰にも知られないように信仰しておったのかも知れんとですよ。本当に驚いたとですよ……」

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 現在、野崎集落に残されているこの家は、廃墟となっている。建物の半分はすでに倒壊し、聖マリア像の置かれている部屋などがかろうじて残されているだけだ。この集落で暮らしていた女性に話を聞いた。

「最後まで島に住んでいたのは、私たち野崎集落の神道でしたね。島の北端にある沖ノ神島神社では、近年まで祭事が行われていました。この神社は(慶雲元年〔西暦704年〕)に小値賀島(おぢかじま)の地ノ神島神社から分祀して創建した厳格な神社です。ご神体は、私たちが島を離れる前に隣の小値賀島にある神社に移されていますので、もう今となっては、あそこには『神殿』が残っているだけです。でも、びっくりしましたね。私たちの集落にもキリスト教徒がいたんですね……」

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 以前、野崎島に住んでいた人たちは、驚きを隠せない様子だが、野崎集落での“聖マリア像発見”は、「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の世界文化遺産登録を覆すようなものではない。もちろん、観光客の誘致に支障をきたすものでもない。しかし、この“聖マリア像発見”は、野崎島最大のミステリーと言うことができるだろう。今後の調査に期待がかかる。

文・取材=小倉門司太郎

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