1万人が失踪した魔の三角地帯「アラスカトライアングル」とは? 謎の閃光との関係は?

 魔の三角地帯として知られる「バミューダトライアングル」の名は誰もが聞いたことがあるだろう。フロリダ、プエルトリコ、バミューダの間の海域で、飛行機や船が謎の失踪を遂げ、何らかの怪異が潜んでいると噂されている。過去にトカナではその原因についていくつかの説を紹介したが、いまも確定的な結論は出ていない。

 さて、バミューダトライアングルと同じように魔の三角地帯と呼ばれる場所は他にもある。たとえば、「陸のバミューダトライアングル」と呼ばれる、米マサチューセッツ州南部に存在する「ブリッジウォーター・トライアングル」。同州南東部のアビントン、レホボト、フリータウンの3つのポイントを結んでできる約300平方キロメートルの三角形地帯で、作家のローレン・コールマン氏によって最初に定義された。一見普通の自然豊かな地域だが、ここでは説明のつかない現象が数多く報告されている。

 だが、バミューダトライアングル、ブリッジウォーター・トライアングルを凌ぐ深刻な失踪事件が多発しているのが、アラスカのバミューダトライアングルこと「アラスカトライアングル」だ。

1万人が失踪した魔の三角地帯「アラスカトライアングル」とは? 謎の閃光との関係は?の画像1
アラスカ州アンカレッジ(画像は「Getty Images」より)

 アラスカトライアングルが広く知られるようになったのは1972年のこと。米下院院内総務のヘイル・ボッグス氏の飛行機がアンカレッジとジュノーの間で消息を絶ったのがきっかけだった。40機の軍用機と50機の民間機が参加し、39日間かけて3万2000平方キロメートルの地域を捜索した。しかし、捜索の結果、残骸も瓦礫も人骨も、一片の成果も得られなかった。残骸も瓦礫も人骨もない。

 それ以前も以後もこの地域では航空機の失踪が相次いでいる。1950年、44人の乗客を乗せた軍用機が忽然と姿を消し、1990年にはパイロットと4人の乗客を乗せたセスナ340型機が消息を絶っている。恐ろしいことに、1988年以降、アラスカトライアングルでは1万6000人以上が行方不明になっており、アラスカでは人口1000人あたり年間約4件の行方不明者届が提出されている。これは全米平均の2倍以上だという。

 アラスカトライアングルの怪異を説明する1つが地形だ。航空機が雪に覆われた山に衝突し、そのまま雪の下に隠れてしまっている可能性である。実際に、1947年に失踪した英国南米航空(BSAA)のランカストリアン3型旅客機スターダストは、失踪から50年以上経て、アルゼンチンの登山家2人がトゥプンガト山に登った際に機体の残骸を発見している。スターダストは垂直に近い氷河に墜落し、雪崩を起こして数分で埋没した可能性が高いと結論づけられた。

 しかし、アラスカトライアングルで行方不明になったすべての飛行機で、同様の雪崩が発生したとは考えにくい。では、飛行機に乗っていなかったハイカーや観光客、アラスカの住民たちはどうだったのだろうか。このあたりから、地形説は科学的根拠に乏しくなってくる。

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画像は「Getty Images」より

 オルタナティブな説も唱えられており、その1つが、アラスカトライアングルに生息するといわれる「クシュタカ」と呼ばれる半人半獣(カワウソ)のUMAに襲われたというものだ。この生物は旅行者に抵抗できない姿(親戚や弱い子供など)で現れ、被害者を近くの川に誘い、そこでズタズタに引き裂くといわれている。

※ UMA(ユーマ、Unindentified Mysterious Animal)とは未確認生物を意味する和製英語。未確認生物とは何世紀にもわたって語り継がれてきた物語や伝説に登場したり、また、今日でも目撃例があるが実在が確認されていない生物のことだとされている。物語、伝説、噂話などで語られる生物であるため、科学的な対象ではなく、“オカルト”に分類される。英語圏で、未確認生物はCryptid (クリプティッド)と呼ばれ、これを研究する学問はCryptozoology(クリプトズーロジー、暗号生物学)と呼ばれるのが一般的。

 アラスカトライアングルの謎はいまも未解明のままだが、最近この地域で奇妙な光が撮影され、ネット上に衝撃が走った。

 アラスカ州アンカレッジに不思議なパープルライト(紫色の光線)が出現、近隣住民により撮影された。

 天体物理学者のハキマ・ルシアは当初、この光線はカメラのセンサーが捉えた光のスペクトルであり、人間の目には見えないという可能性を考えた。しかし、さらに検証を進めると、目に見えないエネルギー放電ではないことがわかった。

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画像は「YouTube」より

 写真の専門家であるアンドリュー・マッカーシーは、この現象はカメラのデジタルセンサーの露出過多によるものだとしている。デジタルカメラのセンサー上のピクセルが画像の特別に明るい部分を処理するとき、そのピクセルがオーバーロードして隣のピクセルににじみ、光の線ができることがあると指摘した。また、2004年発売の古いカメラであるため、当時のセンサー技術が現在の機種よりも劣っていたことも影響しているかもしれないという。

 現在のところデジタルカメラの技術的問題というのが有力な仮説だが、怪異の多発するアラスカトライアングルで撮影されたとあって、今もなおこの画像は人々の心を揺さぶり続けている。

参考:「HISTORY (YouTube)」「Discovery」ほか

文=S・マスカラス(TOCANA編集部)

3代目TOCANA編集長
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