ロシア宇宙機関元長官がアポロ11号の月面着陸を信じない理由とは? ソ連と米国の宇宙飛行士に顕著な違い

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 息の長い陰謀論の一つに「アポロは月に行っておらず、月面に人類が立ったことはない」というものがある。有名なアポロ11号の月面着陸は中継されておらず、地球で撮影された映像を放映したもので、人類はまだ月面に到着していない(場合によっては宇宙にすらたどり着いてはいない)というものだ。勿論これは陰謀論に過ぎないのだが、今でも信じている人が少なからずいる。

 さて、7日日曜日にロシアの宇宙機関であるロスコスモスの長官を勤めた人物が、「アメリカのロケットは実際には月に着陸していない」ことをSNS上で示唆し、注目を集めた。この驚くべき主張は2018年5月から昨年7月に解任されるまでロスコスモスのリーダーを務めたドミトリー・ロゴジン氏によるもので、彼はSNS上で「約10年前、私が政府で働いていたとき、ロスコスモスに『アメリカ人が月面に滞在した証拠書類を提供してほしい』という公式要請を送った」と書き込んでいた。ロゴジン氏は、地球に帰還したロシア(当時は旧ソ連)の宇宙飛行士が無重力の影響で「ほとんど立っていられない」のに対し、アメリカの宇宙飛行士が「宇宙船から這い出てくる」様子を見て「ひどく恥ずかしい」と思ったことが、興味を抱いたきっかけだったという。

 ロゴジン氏は「アポロの月面着陸は本物である」と世界で初めて宇宙遊泳を行った宇宙飛行士のパイオニアでもあるアレクセイ・レオーノフ氏に諭され、『宇宙飛行士による月征服』という本を渡されたが、それでも彼の疑心は晴れなかった。ロゴジン氏は後にロスコスモスの長官になり、立場を利用して「アメリカが月に到達していない証拠」を探し続けたが、何も見つからなかったという。さらに彼はある高官から「その疑問は国際情勢を悪化させるものだ」と非難されるまでに至ったそうだ。

「前世紀60年代の技術開発水準にあった米国が、今なおできない『月面到達』をどのように成し遂げたのか、私にはわからなかったのです」と、ロゴジン氏は弁明。そして「彼ら(※アメリカ)の仲間が我々の『組織』にいたという証拠」があったと述べて締めくくっている。

 なお、宇宙開発競争はロシア側もアメリカ側も双方が互いの動向を注意深く観察していたし、月面着陸の様子は地球上だけでなく、月を周回していた司令船「コロンビア」からも経過観察が行われていた。ロゴジン氏は疑念を抱いていたようだが、ロスコスモスが月面着陸を否定するような証拠を何も持っていないというのはかなり疑わしいと言わざるを得ないだろう。

参考:「Coast to Coast AM」ほか

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文=勝木孝幸(ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

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