幸せの国ブータンの“夜這い文化”を徹底取材! 対象年齢は12歳~70歳!?

 今夜9時放送の「世界ふしぎ発見!」(TBS)では、「秘境ブータンに復活した古道400kmを大横断! 目指すは断崖にそびえる天空の城!」が放送される。世界一幸せな国といわれることもあるブータンだが、その性文化は良くも悪くもかなり大らかなようだ。

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※ こちらの記事は2016年10月8日の記事を再掲しています。

――ブータン取材でわかった衝撃事実!

大正時代までは日本も夜這い天国だった!?

 古来日本には、深夜、女性の家に忍び込み、愛を語り合うというおおらかで味わい深い文化“夜這い”があった。主に農村、漁村などで行われ、起源は平安時代にあり、中世に発展した。時代や地方によって違うが、年上の女が童貞の男を手ほどきすることもあった。反対に祭りの夜、女性の方から「今夜、家に来て」と目当ての男性を誘いかけたという記録も残っている。

 多くは祭りというハレの舞台で行われ、性教育や庶民の不満のガス抜きの役割を果たしていた。村には父親がわからない赤ん坊も生まれたが、次世代の労働力として重要な子どもは村全体で大事に育てられた。

 そんな性に直結し、雅な文化は日本では大正時代ごろに絶滅してしまった。だが、21世紀に入るころまで“夜這い”が一般的だった国がある。幸せの国として知られる秘境・ブータンである。

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画像は、ブータンの伝統的な家屋。1階には牛などの家畜。2階に人が住む。(撮影:松本祐貴)

21世紀になっても夜這いは続いていた?

 ブータンの人口の7割は農業に携わり、主要産業となっている。現地に入ると、米やジャガイモを作り、牛を育てる牧歌的な農村が広がっている。いわば日本の大正時代以前のような農村がそこにはあるのだ。

 今回、著者は、ブータンで夜這い文化について取材し、貴重な証言を得た。例えば、ブータン東部・フェンツィ出身のサンラさん(30歳)も夜這いをしたことがあると語る。ちなみにブータンでは東部が夜這いと酒の本場だ。生真面目そうな見た目の彼にまさか夜這い経験があるとは思えない。

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画像は、取材に答えてくれたサンラさん。内気っぽいが、爽やかないい男 (30)(撮影:松本祐貴)

あれは僕が15歳のころでした。相手も同じぐらいの年で、幼なじみのコです。夜中に2階の窓から入り込み、無事にコトをすませたんです。彼女には行くことを伝えていたので、木戸を少し開けておいてくれたのがラッキーでした」(サランさん)

 今から15年前、2001年にまだ夜這いが行われていたとは驚きである! 

僕は18歳ぐらいまでに合計で7~8回夜這いに行ったことがあります。1回だけ失敗して、女のコのお父さんに謝り倒しましたよ(笑)」(サランさん)

 彼から聞き出した話によると、男性は13歳~15歳ぐらいに初めての夜這い(ナイトハンティング)に出るという。最初は先輩に連れられて行くこともあるらしい。一方、女性は12歳~13歳に初夜這いを受け入れる。そのため低年齢で妊娠してしまうこともあり、社会問題化している。最も、ブータンの田舎では女性は15~16歳で結婚するのが一般的だ。

 また、夜這い相手の女性の年齢は、その12歳から35歳ぐらいまでが一般的だ。もし女性が結婚していても旦那に見つからなければ、そのままコトをいたしても問題ないという。10代から30代、人妻もOKとは、なんという倫理観!? ブータン人の性意識はかなり自由奔放なようだ。

90人斬りの性豪は70歳のおばあさんとも…

 強烈な夜這い話を、同じく東部・モンガル出身のタゥポさん(50歳)が語ってくれた。

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タゥポさん(50歳)。優しい表情の中にヤンチャ坊主の面影が残る。たしかに女の人にモテそうだ(撮影:松本祐貴)

オレが夜這いを初めてしたのは、13歳のとき。同級生で早いヤツは10歳で夜這いデビューしてるのもいた。人数? 今までに90人は夜這いしたかな(笑)」(タゥポさん)

 90人!? あと少しで100人斬りという“性豪”だ。

一時期、“一日、ひとり”っていう目標を作ってたんだ。あと特定の彼女がいるときにも、別の女性に夜這いしに行ってた。初めてのときは、興奮しすぎてたね。明け方まで一緒にいて、何回もした。若さはいいものだね(遠い目をして)。夜中に隣の村まで3時間歩くのも苦じゃなかったし、相手の家にお邪魔するとき、落ちて脚を大ケガ。1週間入院したこともある」(タゥポさん)

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ブータンの町並み。山の中に小さな村が点在する(撮影:松本祐貴)

 彼の地域では、畑の番小屋で夜這いするのが普通だったという。小屋といっても屋根があるだけで、イノシシや野生動物から畑の作物を守るために一晩中、見張りをするものがいた。それが女性の場合、絶好の夜這いチャンスとなる。

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わかりづらいが、画面中央の屋根が畑の見張り小屋。ここで夜這いが行われていた!?(撮影:松本祐貴)

 タゥポさんには若さゆえの失敗もあった。

20歳のときだったかな。その日はどうしても夜這いをしたくて、確実にできる女のコを探してたんだ。村のウワサではひとりだけいた。その女のコというのが、村の外れに住んでいて、一人暮らしの70歳を越えていた老婆。若さは怖いね。オレは覚悟を決めて、老婆のところに向かった。彼女にお酒を飲ませて、ベロベロにして、夜這いをした……」(タゥポさん)

 恐るべき行動力だ。

感想? さすがに辛かったけど、最後までしたよ。けど、その1回だけだったな」(タゥポさん)

 男にとってはある意味うらやましい世界である。だが、女性にも拒否権がある。夜這いに来たのが、気に入らない男性なら、断ることができる。また、夜這いに行った男性も、いきなり襲いかかるのではない。「●●村の○○です」と名乗り「結婚しよう」「愛してる」「以前見かけたときから好きだった」などと女性を口説き落とさなければならない。女性にも配慮した公平なルールだといえよう。

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ポーと呼ばれる男性器をかたどった魔除け。性のおおらかさが伝わる。(撮影:松本祐貴)

携帯、メール、懐中電灯などで消え行く“夜這い”文化…

 今はどうなっているのだろう。前述のタゥポさんが語る。

まず、田舎にも電気、もしくは懐中電灯などがあるから真っ暗じゃなくなった。それに携帯がすべてをダメにしたね。行く前にメールなんてしたら、それは夜這いじゃない。ただのデートだ」(タゥポさん)

 そもそも夜這いから結婚に発展することも多かったという。だが、自由な恋愛のせいなのかブータンでは離婚率が高まっており、アル中やシングルマザーという新たな問題が生まれてしまった。

 現在のブータンは経済成長著しい新興国である。国中に車が走り、街の周辺には新しいマンションが次々と建てられている。

 ちなみに首都・ティンプーで“夜這い”をしようとするものはいない。

もし夜這いをしたら、すぐに警察に捕まるよ。かなり重い刑になるので、一生刑務所から出てこれないかもしれない。だからもう夜這いをするヤツはいないんだ……」(タゥポさん)

 夜這いの話を思い出していたときは、心底楽しそうな笑顔だったタゥポさんの顔が曇った。またひとつ貴重な文化が消えようとしている。夜這いは遠くなりにけり……なのだ。

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文=松本祐貴

1977年、大阪府生まれ。フリー編集者&ライター。雑誌記者、出版社勤務を経て、雑誌、ムックなどに寄稿する。テーマは旅、サブカル、趣味系が多い。著書『泥酔夫婦世界一周』(オークラ出版)『DIY葬儀ハンドブック』(駒草出版)。新刊に編集として関わった『これからの時代を生き抜くための生物学入門』(辰巳出版)五箇公一著。
・ ブログ「~世界一周~ 旅の柄」 http://tabinogara.blogspot.jp/

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