激ヤバウイルスが眠る…? 旧ソ連の極秘施設「炭疽菌の島」が、時を経て“陸続き”になってしまった恐怖

「世界一危険な無人島」といえば、どこを思い浮かべるだろうか。
南米の蛇だらけの島か、それとも放射能で汚染された環礁か。しかし、旧ソ連が中央アジアのアラル海に浮かぶ「ヴォズロジデニヤ島」に作り上げた極秘施設は、それらを遥かに凌ぐ、まさに人類滅亡のショーケースだった。
そこでは天然痘、ペスト、そして大量の「炭疽菌」が野外でばら撒かれ、実験されていたのだ。
ソ連崩壊とともに放棄され、歴史の闇に葬られたはずのこの「死の島」。しかし、地球環境の変化によってこの島が「陸続き」になってしまったことで、新たな恐怖が目覚めようとしている。かつてのアラル海に浮かぶ地獄の研究所「アラルスク7」とは。
のどかな村の顔をした「最凶のバイオ兵器工場」
ウズベキスタンとカザフスタンの国境にまたがるアラル海。かつて世界第4位の面積を誇ったこの巨大な湖の真ん中に、ヴォズロジデニヤ島はあった。

20世紀半ば、この島には約1500人が暮らす「カントゥベク」というのどかな町があった。学校があり、店があり、郵便局まであった。しかし、その平和な風景の裏側には、動物の飼育小屋、射撃場、そして「野外のバイオ兵器実験場」が隠されていたのだ。
この施設のコードネームは「アラルスク7」。ソ連の生物兵器ネットワークの心臓部である。
島という完全に隔離された地理的条件は、万が一のバイオハザードから本土を守るための完璧な緩衝地帯だった。彼らはここで、ペストや天然痘、炭疽菌だけでなく、野兎病、ブルセラ症、発疹チフスといったエキゾチックで致死性の高い病原体のテストを日夜繰り返していたのだ。
漏れ出す死のウイルスと「5万頭のサイガの即死」
いくら隔離されているとはいえ、自然を相手にした実験が完全にコントロールできるはずもない。
1971年、島の近くを航行していた調査船の女性科学者が天然痘に感染し、帰郷後に周囲の人々を巻き込んで死亡する事件が起きた。翌年には近くの漁師2名がペストで死亡。極めつけは1988年5月、島の近くにいた5万頭ものサイガ(小型のレイヨウ)が、わずか「1時間以内」にバタバタと倒れて謎の大量死を遂げたことだ。
この島から漏れ出した「何か」が風に乗って運ばれた結果であることは、もはや疑う余地もない。
当時、ソ連は国家ぐるみで約5万人もの人員を動員し、工業的スケールで生物兵器を製造していた。しかし、1979年にスヴェルドロフスク(現エカテリンブルク)の施設でずさんなフィルター管理が原因で炭疽菌が漏洩し、100人以上が死亡する大事故が発生。これを機に、ソ連はついに炭疽菌プログラムの破棄を決定した。
そして、行き場を失った最大200トンもの「炭疽菌の泥」は、最終処分場としてこのヴォズロジデニヤ島の巨大な穴に投棄されたのである。

湖が干上がり「島」が「半島」に繋がった日
1991年のソ連崩壊後、島の住民たちはすべてを置き去りにして逃げ出した。炭疽菌の眠る穴だけを残して。
しかし、本当の恐怖はそこから始まった。ソ連が無謀な農業灌漑プロジェクトでアラル海に注ぐ川の水を奪い続けた結果、湖は急速に干上がり、砂漠化が進行。そして2001年、ついに水が干上がりきり、ヴォズロジデニヤ島は本土と完全に陸続きの「半島」になってしまったのだ。
これは何を意味するのか。
船を使わなくても、テロリストやスカベンジャーが車や徒歩で「炭疽菌のゴミ捨て場」にアクセスできるようになったということだ。2001年の9.11テロ直後だったアメリカはこれにパニックを起こし、翌2002年、ウズベキスタン政府と共同で急遽クリーンアップ作戦を決行。11の炭疽菌ピットを除染し、施設を解体した。
公式には、この作戦で「死の島」は無害化されたことになっている。しかし、土壌の奥深くまで染み込んだ炭疽菌の芽胞(非常に生命力が強く、数十年も休眠状態で生き延びる)が、100%完全に消滅したと誰が言い切れるだろうか。干上がったアラル海の砂埃が風に舞うたび、かつての冷戦の亡霊が再び目を覚まし、私たちの元へ飛んでくるかもしれない。
自然を破壊し、ウイルスを兵器化した人間のカルマは、干上がった湖の底で今も静かに時を待っているのだろうか。
参考:Popular Mechanics、ほか
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2024.10.02 20:00心霊激ヤバウイルスが眠る…? 旧ソ連の極秘施設「炭疽菌の島」が、時を経て“陸続き”になってしまった恐怖のページです。ウイルス、ペスト、生物兵器、ソ連、天然痘などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで