巨大「殺人ホテル」支配人・ホームズの恐怖!
惨殺・解剖200人以上… 脱出不可能な巨大「殺人ホテル」支配人ヘンリー・ハワード・ホームズ! 全米最狂の“真性サイコパス”の事件全貌とは!?
今回は19世紀アメリカでホテルを経営しながら、その中で連続殺人を行なっていたヘンリー・ハワード・ホームズを改めてご紹介する。前代未聞の犯行はその後様々なフィクションに影響を与え、あのハリウッド俳優レオナルド・ディカプリオが映画化に興味を示したという。果たしてどんな事件だったのか? ぜひこの機会にご一読いただきたい。
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第88回アカデミー賞で、悲願のオスカー像を手にしたレオナルド・ディカプリオ。『タイタニック』が世界中で大ヒットして以来、日本でも人気、知名度が高く、次にディカプリオがどんな作品に出演するのか、気になるファンも多いことだろう。
俳優だけでなく、映画プロデューサーの顔も持つディカプリオは、2010年に、ある作品の映画化権を自ら購入している。それは19世紀のアメリカに実在した人物のノンフィクション小説だ。
「私は悪魔と共に生まれてきた。
そして、私は常に悪魔と共に過ごしてきたんだ」
この言葉を残した人物こそ、ディカプリオが映画化を望んだ、ヘンリー・ハワード・ホームズだ。表向きは、巨大なホテルを経営する若き実業家、しかし、ホームズの一生は嘘と血で塗り固められ、近づいた人たちを次々と地獄へ引きずり込んだ真性サイコパスだ。近代アメリカの犯罪史で、最初のシリアル・キラーとされているH・H・ホームズとは、いかなる人物だったのか? その血生臭い軌跡を辿っていこう。

■過酷なドメスティック・バイオレンスとイジメの日々
1861年5月16日、後のH・H・ホームズは、ハーマン・ウェブスター・マジェットとしてニューハンプシャー州で誕生した。農業で子供たちを養う両親は、敬虔なメソジストだった。メソジストとはキリスト教の宗派のひとつで、規則正しい生活を美徳とするのが特徴だ。だが、信仰に反して父はアルコール依存症であり、酒に飲まれ、頻繁に家族へ暴力を振るった。
幼いハーマンの悩みはドメスティック・バイオレンスだけではなかった。周りの子供たちよりも、ずば抜けて頭が良かったため、通っていた学校では学友たちから妬まれて壮絶なイジメを受けていたのだ。肉体的にも精神的にも逃げ場のない生き地獄の中で、後の彼の人生を大きく左右する出来事が起きる。
ある日、イジメっ子たちはハーマンを連れて、人気のない地元の病院へ忍び込んだ。小心者のハーマンが怖がるところを見て、楽しもうとしたのだ。彼は病院内にあった人体の骨格模型と対面させられ、骨の手を顔面に乗せられた。
「最初はとても怖かった。だけど、しばらくすると自分が人骨に興奮している事に気付いたんだ」
この体験がきっかけとなり、ハーマンは「死」について興味を覚える。そして、小心者のイジメられっ子は、人知れず動物の解剖を行うようになり、屈折した欲求を満たしていった。
■悪魔が目を覚ます
成績優秀だったハーマンは、16歳で高校を卒業すると教師として働き始める。親元を離れて自由になると、17歳の時にクララという女性と結婚。息子のロバートも誕生し、幸せな結婚生活を送っていた。やがて、ハーマンは教師の職を辞めて21歳でミシガン州の大学の医学部へ進学。1884年には医師免許を取得した。
学歴と資格を得たハーマンだったが、卒業する頃には結婚生活は冷えきっていた。家に寄り付かなくなったハーマンは、やがて妻と息子を見捨て、各地を転々としながら、犯罪に手を染めていく。
ハーマンがニューヨークへ移り住んだ時のことだ。彼の下宿先の近くで、少年が突然姿を消してしまった。近所の住民は、少年が姿を見せなくなる前に、ハーマンと一緒にいるのを目撃していた。
「あの少年はマサチューセッツ州の自宅に戻ったんだよ」
住民たちから事情を聞かれたハーマンは、少年失踪への関与を否定したが、その直後に彼はニューヨークを後にする。
フィラデルフィアに移住したホームズは薬局で働き始めたが、彼の勤務中に不審な出来事があった。その薬局で買った薬を飲んだ少年が、突然、死亡してしまったのだ。この時も、ホームズは不審死への関与を否定し、すぐに店を辞めて街を去ってしまう。
その後、ハーマンはシカゴへと移住すると、名前をヘンリー・ハワード・ホームズに改名する。これまでに犯した犯罪の被害者が訴え出た際に、自分へと疑いが向けられるのを避けるためだ。
そして、エリザベス・ホルトンが経営する薬局に雇われ、熱心に働き始めた。やがて、エリザベスの夫が死去すると、ホームズは、この薬局を買い取りたいと話を持ちかける。これに婦人は同意し、ローンで店舗の購入代金を返済していく契約を結んだ。
こうしてホームズは自分の薬局を手に入れたのだが、しばらくすると、エリザベスは姿を見せなくなってしまう。ある常連客がホームズに彼女のことを尋ねると、親族のいるカリフォルニアへ移り住んだと答えた。それは明らかに不審な失踪だったが、当時は事件として捜査されることもなかった。
■巨大殺人ホテルのオーナーへ
薬局のオーナーとなってから程なく、ホームズは通りの向かいに、地元の人々が「城」と呼べるほど巨大な3階建てビルの建設に着手する。完成すると、「ワールズ・フェアー・ホテル」と名付けられ、1893年に開催されたシカゴ万博の来場者向けの宿としてオープン。このシカゴ万博には2700万人もの来場者が訪れ、ホテルは遠方からの宿泊客でたいへん繁盛した。
だが、部屋数が100を超える巨大ホテルの構造は通常のものとは異なっていた。
建物内の廊下は、非常に入り組んでいるうえに、内側からは開けることのできないドア、行き止まりの階段など、まるで迷い込んだものを飲み込んでしまうモンスターハウスのような造りだ。
このホテルを建設するにあたって、ホームズは建設業者に対して、「怠けていて全然仕事をしていなかった」と難癖をつけては解雇し、新たな業者を雇い、再び解雇…。こうすることで、ホームズは建設費用を次々と踏み倒し、タダ同然でホテルを手に入れた。また、それにはもうひとつ理由があり、自分以外にホテルの全体像を知られたくなかったのだ。
完成した「ワールズ・フェアー・ホテル」の全貌を把握しているのはホームズただひとり。この魔宮と化したホテルを舞台に、彼は長年溜め込んでいた殺人欲求を吐き出していった。

■首吊り、窒息、解剖… 人知れず繰り返された惨劇
悪夢のホテルを舞台に、さまざまな手法でホームズは殺人を楽しんだ。
ある被害者は、防音のベッドルームに閉じ込められ、そこにガスを充満させられて中毒死した。また、ある被害者は、ホテルの2階にあった、通称「首吊り」部屋に連れて行かれ、ホームズの手によって絞首刑に処された。また、ホームズのオフィスには巨大な金庫があり、その中に閉じ込められ、薄れゆく酸素の中で窒息死していった被害者もいた。
残虐性と高い知性を併せ持つホームズは、殺人を犯すたびに、その時の状況や被害者が事切れてゆく様を克明に記録していった。遺体は隠しエレベーターやダストシュートによって地下室へと運ばれ、そこでホームズによって解剖された後に、肉を削ぎ落とされ、骨格標本して学校などへ売却された。また、削ぎ落とされた肉塊や内臓は、高濃度の酸などで溶かされ、証拠は跡形もなく消されていった。
後に、捜査員がこのホテルを調査すると、地下に掘られていたトンネルからは、人骨の山や手術用の器具なども見つかった。
■シリアル・キラーの逮捕と最後の言葉
半年にわたって開催されたシカゴ万博が終了すると、ホームズはあっさりとホテルに見切りをつけ、シカゴを離れる。その後、彼はアメリカ、カナダを転々としながら小さな詐欺を繰り返した。しかし、保険金目当てで子供を誘拐したことがきっかけで逮捕され、そこからホテルでの大量殺人が明るみとなった。取り調べの中でホームズは27件の殺人を告白しているが、実際には200人以上が被害に遭っていると言われている。
1896年5月7日にホームズの絞首刑が執行されることとなった。最後に言い残す言葉を聞かれると、こう答えた。
「ゆっくりやってくれ、ただ失敗しないでくれよ」
こうして、アメリカ初のシリアル・キラーは苦しむことなく35歳でこの世を去った。
■再び描かれる殺人鬼
H・H・ホームズに関しては多くの書籍も出版されたが、中でも最も有名なのが、エリック・ラーソンによるノンフィクション『ザ・デビル・イン・ザ・ホワイト・シティ』(日本語版『悪魔と博覧会』文藝春秋)だ。2003年に出版されベストセラーとなると、この本の映画化権をレオナルド・ディカプリオが購入。当初はパラマウント・ピクチャーズでスコセッシ監督作として企画開発が進められていたが、クランクイン直前に主演のキアヌ・リーブス、演出のトッド・フィールド監督が相次いで降板し、映画化は頓挫している。
果たして、悪魔と共に生まれ、悪行の限りを尽くした男が映像に描かれることはあるのだろうか。
(文=狐月ロボ)
参考:「『HARPER’S』」、ほか
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