ニコラ・テスラは別の惑星からの電波を受信した人類史上初の人間であると確信していた!?

 著名な発明家、ニコラ・テスラはある夜、電波を用いて宇宙人と交信できると考えて実験を行い、惑星から送られたシグナルを受信できたと書き残している。

■テスラ「惑星から別の惑星への挨拶を聞いた」

 交流送電技術の発明者でもあるニコラ・テスラだが、無線工学の分野においてもきわめて精力的であったことで知られている。テスラは“世界システム”と呼ばれる無線送電と無線通信、放送を目的としてニューヨーク州ロングアイランドに「ウォーデンクリフ・タワー(Wardenclyffe Tower)」という高さ57メートルの電波塔を建設しているのだ。

ウォーデンクリフ・タワー 画像は「Wikimedia Commons」より

 ウォーデンクリフ・タワーの建設着工の2年前の1899年、テスラは自分で開発した無線機器で奇妙な信号を受信し、その時のことを手記に書き残している。

「今でも時折、あの事件のことを鮮明に思い出し、まるで実際に目の前にあるかのように自分の装置が見えます。私の最初の観察は、本当に恐怖を感じました。なぜなら、その中には超自然的とは言わないまでも、神秘的な何かが存在していたからです」(二コラ・テスラ)

 つまりこの時、テスラは無線機器で“ビープ音”を聴いたのである。

「私が気づいた変化は周期的に起こっており、その数と順序が非常に明確に示唆されていましたが、当時私が知っていた方法で原因を追跡することはできませんでした」(二コラ・テスラ)

 太陽が原因の電気的障害の可能性があることはわかっていたという。

「それからしばらくして、私が観察した混乱は知的制御によるものかもしれないという考えが私の心に浮かびました。私はその意味を解読できませんでしたが、それらが完全に偶然であったと考えることは不可能でした。ある惑星から別の惑星への挨拶を最初に聞いたのは私だったのではないかという気持ちが常に私の中で高まっています」(二コラ・テスラ)

 テスラは自分が人類史上で最初に別の惑星から送られた電波を受信した人間であると確信したのである。

 その後、テスラは信号を調査するためにさらなる探究を続け、信号を送った知性のある宇宙人のいる惑星との間の距離を計算すると共に、宇宙人に向けて「4」という返事を送ったという。

 この話を周囲にもしていたテスラだったが、専門家からはその信号は電離層を通過できない周波数で送信されているため、地球上から発信されたもの以外にはないと指摘され一部からは嘲笑されたという。宇宙人からの信号を受信したというのはテスラの“妄言”だったのか。

二コラ・テスラ 画像は「Wikimedia Commons」より

■木星から届けられた信号なのか?

 現代の科学から見ると、テスラにはいくつか初歩的な誤謬を犯していた形跡があるという。

 たとえば、テスラは交流電流の先駆者であるにもかかわらず、電子の存在を信じていなかったという。その代わりに、彼は原子が宇宙の最小の構成要素であると考え、原子は完全な真空の中でしか存在しないとかつて主張している。

 またテスラは“エーテル”が電流を伝達するという19世紀のエーテル理論を信じていたといわれている。

 知的な宇宙人が送信した無線信号を受信したという彼の主張もまた彼の意外な初歩的誤謬の1つなのだろうか。

「IFL Science」の記事より

 しかしテスラがこの信号を発見してから1世紀以上が経過し、意外なことにある研究チームがテスラの装置を再現し、少なくともその信号源が惑星起源である可能性があることを示唆している。

 物理学者のケネス・L・コラム氏とジェームス・F・コラム氏の合同研究チームが2003年に発表した研究で「テスラが受信した信号を木星からの強烈な超長波(VLF)の検出として特定することは完全に合理的であるというのが我々の意見です」と言及している。

「懐疑的な人々を説得するには、まだかなりの作業が必要です。しかし肝心なのは、テスラのコロラドスプリングス研究所の受信機の1つで木星からのキロメートル信号を聞くと、時折『ピー…ピーピー…ピーピーピー』という音が聞こえたということです!」

 この信号は木星から発信された知的エイリアンのシグナルであったのだろうか。

「偏光されたキロメートル信号(kilometric signals)は、黒点極小期に地球の電離層を通過します。テスラは、適切な場所に、適切なタイミングで、適切な行動をとり、惑星起源のこれらの異常な電気信号を検出できる適切な機器を備えていました。科学界は準備ができていませんでした」

 つまり太陽黒点の極小期には微弱な電波でも地球の電離層を突き抜けることができるというのである。はたしてテスラは宇宙人と交信した人類最初の人物であったのか。この意外な研究の今後の進展が気になるところだ。

参考:「IFL Science」ほか

文=仲田しんじ

場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。
興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
ツイッター @nakata66shinji

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