「人間はコンピュータである」米有名大学が実証へ! 意識や感情も“量子”で解明、人間観が劇変か!

※ こちらの記事は2018年3月31日の記事を再掲しています。

Kohji AsakawaによるPixabayからの画像


 人間の脳が量子コンピュータである可能性が浮上。その解明に向け、米カリフォルニア大学の理論物理学者、マシュー・フィッシャー教授らがテストを行う予定だと、科学ニュース「Science Alert」(29日付)が報じている。

■脳は量子コンピュータだった!?

 コンピュータと脳の類似性は思いつきやすい。どちらも情報を処理し、決断を下し、インプットとアウトプットから成り立っている。しかし、科学者らは、脳の恐るべき複雑さは、既存のコンピュータではなく、量子コンピュータによって解明できると考えているようだ。

 すると、量子もつれや量子の重ね合わせといった量子力学に特有の現象は、我々の脳の中で日常的に起こっている現象ということになる。全ての科学者がこのことに賛成しているわけではないが、合っているにしろ間違っているにしろ、今回の研究が大きな一歩となることは間違いないだろう。研究メンバーのカリフォルニア大学教授マット・ヘルゲソン氏は次のように語っている。


「量子的なプロセスが脳内で起こっていると認められたならば、脳機能や人間の認知機能に対する理解や扱い方に革命が起こるでしょう」(ヘルゲソン氏)

 そもそも既存のコンピュータと量子コンピュータの違いは何だろうか? 一番大きな違いは、既存のコンピュータは、1と0のビット(binary bit)で情報を処理するが、量子コンピュータは量子ビット(qubit)で情報を処理する、という点だ。量子ビットは、量子の重ね合わせにより、1と0が重ね合わせられた状態もとることができるため、既存のコンピュータよりも複雑で大量の情報を処理できると言われている。

■意識や感情の解明も

「人間はコンピュータである」米有名大学が実証へ! 意識や感情も量子で解明、人間観が劇変か!の画像3画像は「UC SANTA BARBARA」より引用

 今回、科学者らが計画している実験は3つ。1つは、量子ビットが原子核を回る電子ではなく、核スピン(原子核の自動運動)上に貯蔵されているか確かめるもの。具体的には、人体に大量に存在するリン原子が生化学的な量子ビットとして機能しているかを見るそうだ。

 次に、量子ビット同士の繋がりと依存性(量子もつれ)が破れる量子デコヒーレンス(量子系の干渉が環境との相互作用によって失われる現象)の可能性を調べるという。我々の脳が量子コンピュータだとしたら、デコヒーレンスを引き起こさないための生体的な仕掛けがあるはずだからだ。

 3つ目に、ミトコンドリアを調査するという。ミトコンドリアは生体のメタボリズムに寄与し、体中に信号を送っている。そのため、脳の量子ビットにおいても重要な役割を担っている可能性が高い。神経伝達物質とシナプスの発火が脳内の量子もつれを引き起こしている可能性があると研究チームは考えているそうだ。

 

 脳が量子コンピュータだと判明すれば、長期記憶、意識、感情、気付きなど、脳の最もミステリアスな機能を解明する糸口を掴むことになるという。もし意識が量子コンピュータの産物だとすれば、これまでの人間観が180度転回するような大発見だ。物理的なプロセスで意識が発生するならば、理論的には人口知能に意識を持たせることも可能になるだろう。いずれにしろ、全ては実験の結果が出てからだ。フィッシャー教授らの今後の研究に一層期待したい。

参考:「Science Alert」、「New Scientist」、ほか

TOCANA編集部

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