マクドナルドのピエロがひっそりと消えていた……その不穏な理由とは

2024.04.20 12:00 文＝仲田しんじ

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　そういえば最近見なくなったという芸能人や有名人は少なくないとは思うが（!?）、やんごとなき事情でひっそりと姿を消していたのがマクドナルドのピエロ、ドナルドだ――。

■いつの間にか姿を消していたドナルド

　日本でも依然として人気のハンバーガーチェーンのマクドナルドだが、中高年層ならそういえばあのピエロのキャラクターを店内やCM、ポスター類などで最近見かけなくなったと不図、気づくかもしれない。赤い髪で顔を白く塗り黄色いツナギを着たあのピエロのキャラクター、ドナルド（海外ではロナルド）は実は完全に姿を消していたのである。

　日本のマクドナルドのCMからドナルドが消えたのは2007年のことといわれてるが、その頃から海外でも徐々にドナルドの露出は減っていき、2016年に完全に姿を消したのである。そこにどんな理由があったのか。

　英ウェブメディア「LADbible」の記事によれば、その理由となったのはSNSを席巻したかなり不穏な流行にあったという。

　その“不穏な流行”とは「殺人ピエロ」の大量出没である。

M.Minderhoud – 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 3.0, リンクによる

　2016年頃からアメリカやイギリスで「殺人ピエロ（killer clown）」と呼ばれる不気味なピエロが相次いで出没し、その中には事件となるものもあった。

　DCコミックス「バットマン」シリーズに登場するジョーカー（Joker）のような悪役としてのピエロのキャラクターは以前から知られていたが、どういうわけか（一説ではホラー映画のマーケティングともいわれている）この時期にホラーチックで不気味なピエロのコスプレをしてイベントに参加したり、路上で人を脅かしたりするような輩が増えはじめたのだ。ちなみに映画『ジョーカー』の公開は2019年なのでそれよりも後のことだ。

　あるいはかつて全米を震撼させたシリアルキラー、ジョン・ウェイン・ゲイシー（1942-1994）は子供たちを楽しませるため、パーティーなどでピエロに扮していたことで知られ、まさに“殺人ピエロ”の異名を持っていた。ひょっとするとこのゲイシーのスピリットが歳月を経てこの時期に“復活”したのだろうか。

■ハロウィンでピエロの集団暴行事件が発生

　2016年当時、今よりも熱量が高かったかもしれないSNSで彼らは自分たちの不気味なピエロ姿の写真をシェアし、彼らの一部が学校周辺などに出没して子供たちを怯えさせる事件が、アメリカ、カナダ、オーストラリア、イギリスで報告されるようになったのだ。そしてこの動きは一大仮装イベントとなる“ハロウィン”へと収斂していく。

　同年8月末、米オハイオ州の男子生徒がピエロのマスクをかぶったナイフを持った男に追いかけられる事件が起き、そして同年のハロウィンの日、米フロリダ州の家族がピエロのマスクをかぶった20人の集団に襲われるという事件が起きたのである。

　かつてピエロは子供たちを楽しませる人気キャラクターであったピエロだが、こうした事件が相次ぎピエロのイメージは完全に失墜した。