4500年前の“落書き”が歴史を塗り替える？ピラミッド内部で発見された誇り高き職人の「メッセージ」

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　エジプトの大ピラミッドには建設作業員たちの偉業を後世に伝える“記念碑”が残されていた――。ピラミッドを作った作業員たちは決して奴隷などではなく、熟練の技術を持ったプライドの高い職人たちであったという。

■大ピラミッド建設作業員は奴隷ではなかった

　エジプト学者のザヒ・ハワス博士が率いるチームは画像技術を使ってギザの大ピラミッドの「王の間」の上にある一連の狭い部屋を調査し、建設作業班が残したこれまでは確認されていなかった痕跡を浮き彫りにした。

　彼らはまたピラミッドの南側で熟練労働者の永遠の安息の地となる彼らの墓を発掘した。そこには石を動かす労働者の像や、「現場監督者」や「職人」といった21の象形文字の称号が刻まれていたのだ。

「（発見は）ピラミッド建設者たちが奴隷ではなかったことを裏付けています。もし奴隷だったなら、ピラミッドの裏に埋葬されることは決してなかったでしょう」とハワス博士は出演したポッドキャスト番組「Matt Beall Limitless」で述べている。

　大ピラミッドの建設にあたった熟練労働者たちは当然有給で、10日ごとに1日休みを取りながら働いていたことが示されているということだ。

　19世紀にも大ピラミッド内部で碑文が発見されており、その時は建造から数百年後に偽造されたものではないかという議論が巻き起こった。

「それが偽造であるかどうかについては議論がありましたが、今、あなたは王の部屋の中でさらに3つの石碑を発見したと言っていますね」と番組ホストのビール氏はハワス博士に尋ねた。

　ハワス博士は18世紀後半から19世紀にかけて何人かのヨーロッパ人が大ピラミッド内部に侵入し、石に名前を刻み込んだことを認めた。

「しかし、私たちが発見した碑文は明らかにはるかに古く、古代エジプトの労働者によるオリジナルの落書きです」とハワス博士は念を押す。

「これらの碑文は、アクセスが困難かつ危険な部屋で発見され、訓練を受けたエジプト学者だけが正確に解釈できる文字が使用されていました」（ハワス博士）

　これらの碑文の他に、2番目の大きな発見はピラミッド建設者たちの墓である。 ハワス博士と彼のチームは、大ピラミッドの建設に使われたと思われる火打ち石の道具や石打器などの道具を墓の中から発見した。

　一方、ハワス博士の同僚であるマーク・レーナー氏はピラミッドのすぐ東の遺跡を発掘しており、この一帯は「労働者の都市」であったという。都市にには塩漬けの魚を選別するために使われた施設、パンを生産する大きなパン工場、兵舎、労働者が住んでいた集落などの痕跡があったのだ。

　また今回の調査ではピラミッドの建設方法も明らかになり、300メートル離れた採石場から石灰岩が瓦礫と泥の斜面を使って現場まで運ばれていたことが示され、その残骸が遺跡の南西で発見された。

　ハワス博士は早くも次の調査の準備を進めている。

　2017年に日本、フランス、エジプトの共同研究チーム「Scan Pyramids」が大ピラミッド内部に長さ30メートルを超える未知の巨大空間「ビッグボイド（Big Void）」が存在することを発表しているが、ハワス博士は現在、超小型ロボットをビッグボイドに送り込んで調査を行う計画に取り組んでいるのだ。

　ピラミッドの側面に開けられた小さな穴を通過できる1センチ以下の超小型ロボットの開発が現在急ピッチで進められている。

　ハワス博士は、ビッグボイドの中でクフ王の墓が見つかることを確信しているという。ビッグボイドの調査は来年1月か2月頃に予定されているということだ。

　はたして大ピラミッドの内部でクフ王の墓とミイラが見つかるのだろうか。来年早々にも行われる調査に期待したい。

参考：「Daily Mail」ほか

文＝仲田しんじ

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