死のTikTokチャレンジ「クロミング」― 12歳少年が死亡、部屋からは5本のスプレー缶

画像は「Daily Star」より

 自室のベッドで亡くなっていた12歳の少年の死因とは? 少年の部屋からはボディスプレー缶などの5つのスプレー缶が発見された――。

■“クロミング”で12少年が死亡

 一部の若者の間で「クロミング(chroming)」と呼ばれるSNSのトレンドがきており、ハイになることを目的にマニキュア除去剤、ヘアスプレー、エアゾール式デオドラント、ライターオイル、ガソリン、ペイントシンナー、スプレーペイント、油性マーカーなどの危険な化学物質を吸入する危険行為が行われている。

 これらの化学物質を高濃度吸い込むと、短時間はハイになれるが、同時にめまい、嘔吐、心不全、脳障害などを引き起こす可能性もあると警鐘が鳴らされている。

 英イングランドの北西部の街、グレーター・マンチェスターに在住の12歳の少年、オリバー・ゴーマン君は今年5月5日の朝、掛け布団の中で呼吸をしていない姿で母親によって発見された。

 救急隊が現場に急行し、オリバー君はテームサイド総合病院に搬送され、午後7時31分に死亡が確認された。オリバー君の寝室では制汗剤やボディスプレー缶などの5つのエアゾール製品が発見されている。

 検死審問で少年が「クロミング」と呼ばれる危険なTikTokチャレンジに参加した後に悲劇的な死を遂げたことが発表され、オリバー君は、スプレー缶の制汗剤から発生した致死性のガスを吸い込んだことで死亡したとされた。

 オリバー君の早すぎる死に関する審問で、母親のクレア・ギレスピーさんは、TikTokでのクロミングの流行について、厳しい警告を発した。マンチェスター南部検視官裁判所は、オリバー君が容姿のことで言葉によるいじめを受けていたものの、活発で社交的な少年だったと証言した。

「オリバーは落ち込んでいて、ソーシャルメディアに救いを求めました。自殺しようとしたとは思いません。何かひどく間違ったことが起こったのだと思います」とクレアさんは英紙「Mirror」に語る。

 クレアさんは「オリバーの意識向上」と題した嘆願書を提出し、ソーシャルメディア、溶剤の乱用、ハラスメントの危険性に光を当てるために、この運動をさらに推し進めていく決意を明らかにした。

「もし私たちが1カ所で意識を高めることができれば、10カ所でも100万カ所でも広げることができるでしょう」(クレアさん)

 アンドリュー・ブリッジマン検視官補佐は、事故死の評決を下し、オリバー氏が自殺を図ったとは考えられないと述べた。

 ブリッジマン氏は、エアロゾルに関する警告は不十分であり、注意を払う必要があるとの考えを示した。

「オリバーが自殺する意図で故意にエアロゾルを吸入したという証拠はありません。クロミングはTikTokのチャレンジから来ているように思えます」(ブリッジマン氏)

 ブリッジマン氏は、エアロゾル吸入の危険性に関するラベル表示が不十分であること、そして16歳未満の子どもがこれらのスプレー缶を購入できることについて懸念を表明した。彼はこの問題について大臣に書簡を送る予定である。

UnsplashFlüm Franceの画像

「TikTokが、チャンネル登録者の健康を全く考慮せずにこうしたチャレンジを拡散していることが大きな懸念事項です。命に関わるようなチャレンジがTikTokで簡単にアクセスできることが懸念されます」(ブリッジマン氏)

 検死審問後、クレアさんは「ソーシャルメディアは恥ずべきものです。私は親戚と話すためにフェイスブックを使いました。今ではほかの子どもたちに自殺を勧めたり、恐ろしい結末を迎える可能性のある行動を取らせようとする人たちがいるのです」とコメントした。

「まさか我が子にこんなことが起こるなんて思いもしませんでした。子どもの安全のために携帯電話を買ってあげているのですが、その安全性は大きな賭けです。子どもが携帯電話で何をしているのか分からないからです」(クレアさん)

 日本でも若者のシンナー吸引や咳止め剤の誤用などが問題になったことがあるが、身の回りにあるもので簡単にハイになれるクロミングの危険性について周知の徹底が求められている。

参考:「Daily Star」ほか

関連キーワード:, , ,

文=仲田しんじ

場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。
興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
ツイッター @nakata66shinji

仲田しんじの記事一覧はこちら

※ 本記事の内容を無断で転載・動画化し、YouTubeやブログなどにアップロードすることを固く禁じます。

人気連載

“包帯だらけで笑いながら走り回るピエロ”を目撃した結果…【うえまつそうの連載:島流し奇譚】

“包帯だらけで笑いながら走り回るピエロ”を目撃した結果…【うえまつそうの連載:島流し奇譚】

現役の体育教師にしてありがながら、ベーシスト、そして怪談師の一面もあわせもつ、う...

2024.10.02 20:00心霊

死のTikTokチャレンジ「クロミング」― 12歳少年が死亡、部屋からは5本のスプレー缶のページです。などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで